内容説明
ニュートンの力学は、ダランベールやラグランジュ、ラプラスによって数学的に改鋳され洗練されることで今日言う「ニュートン力学」へと変貌を遂げた。また地球の運動をほぼ完全に解明し、太陽系の安定性を理論的に証明することによって万有引力論への懐疑を一掃した。それは同時にニュートン自然哲学の根底にあった神学原理を物理学から追放することでもあり、ここに力学的世界像は確立される。しかし力学的自然観は、場の理論の登場で19世紀にその限界を明らかにする。そのことは、光や電磁気現象の力学的解明を目指したケルヴィン卿の挫折に示される。著者一連の科学思想史の原点、記念碑的著作の待望の復刊。
目次
第10章 地球の形状と運動
Ⅰ 地球の歳差運動
Ⅱ 角運動量の導入
Ⅲ 剛体の回転の記述
Ⅳ 慣性テンソルと慣性主軸
Ⅴ オイラー方程式
Ⅵ 太陽が地球に及ぼす力のモーメント
Ⅶ オイラー方程式を解く
Ⅷ 自由章動と緯度変化
Ⅸ 地球の扁平性と人工衛星の運動
第11章 力学的世界像の勃興
Ⅰ フランス啓蒙主義における真理概念の転換
Ⅱ 啓蒙主義以降の重力
Ⅲ 〈力〉の尺度をめぐる論争
Ⅳ 力の定義と運動方程式
Ⅴ デカルト的汎合理主義の復活
Ⅵ 力学的世界像の提唱
第12章 ラグランジュの『解析力学』
Ⅰ ダランベールの原理
Ⅱ ラグランジュによる再定式化
Ⅲ ラグランジュ方程式
Ⅳ 運動量・角運動量保存則
Ⅴ エネルギー保存則と最小作用の原理
Ⅵ ハミルトンの原理
Ⅶ 力学的エネルギー保存則再論
Ⅷ ラグランジュとラプラスの時代
第13章 太陽系の安定の力学的証明
Ⅰ ニュートンとその後
Ⅱ 問題の設定
Ⅲ 2体問題からはじめる
Ⅳ ケプラー運動
Ⅴ 長半径についての摂動方程式
Ⅵ ラプラスの定理
Ⅶ 木星‐土星問題
第14章 力学的世界像の形成と頓挫
Ⅰ 「力学的神話」と汎合理主義
Ⅱ 汎力学的物質観=汎力学的法則観
Ⅲ 力学的決定論
Ⅳ 熱力学の第1法則をめぐって
Ⅴ ヘルムホルツの力学的自然観
Ⅵ 熱力学第1法則の力学的基礎づけ
Ⅶ エネルギー論
Ⅷ ボルツマンと原子論
第15章 ケルヴィン卿の悲劇
Ⅰ ケルヴィンとその時代
Ⅱ ケルヴィンの力学思想──ダイナミカルな自然観
Ⅲ 渦動原子論
Ⅳ 近接作用論と力の統一
Ⅴ 光エーテルをめぐる困難
Ⅵ マックスウェルの理論をめぐって
注
後記
文庫版へのあとがき
人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
南北
maqiso
yanagihara hiroki
げんき
-
- 電子書籍
- 常にぼーっとしている部下が言いがちなN…