内容説明
人は死んで、いなくなる。ボケたらこちらの勝ちである。人生に多少の危険はつきものだ。若者に独創性を説くのは害であろう。教育の本質は「人を変える」こと。自分がどういう面で変わり、どういう面で変わらないか、歳を取ってもわからない。そこに、希望がある。世界が変わるのではない、自分が変わるのである――。9年間40万字を費やした連載の集大成、「大言論」シリーズ第1巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やせあずき
38
養老さんは学者なので、やはり内容は私には難しかったです。まあ、一度読んで分かるほど簡単なモノではないですよね。例えば、読書とは「合目的的行為のための手段的行為に対する象徴的代置行為」であり、「生きるための本質が備わっていない読書は、それ自身が目的の行為ではなく、象徴的行為である」といった具合に。こんなアプローチもあるんだと、目からウロコでした。ただ、読了後に心に残ったのは、何より、難しいことを考えておられる養老先生も、普段はただ純粋に虫好きのおじさんだということでしたが(^^;;2015/03/08
日々珠
20
題名がいいな、好み。読書について書かれてて、のめり込んだ。2014/11/26
ハチ
10
5年ぶりに読んだ。 自分が親になり、なかなか自分を叱り、指導してくれる存在が若い頃よりうんと少なくなった。誰かに叱ってもらいたい時もある。そんな存在を養老先生の文章に、本に求めているのかもしれない。スルメ本。ダシのような滋味が五臓六腑に染み渡る気がした。2022/10/26
さきん
8
日本列島の昆虫観は採取という観点からも歴史という観点からも参考になる。都市文明の異質さには全く共感した。私も夢としては田舎に軸を置きたいが、良い本や情報は都会の方が得やすいのが現状で、悩んでいる。2015/07/08
galoisbaobab
7
よくもまぁ250p程度の本でこれだけ盛り沢山の話を書くよな、と激しく感心する。養老孟司の本が好きな理由は、「人間は変わる」という単純な思想をずっと言い続けているからである。遺伝子という情報は変わらなくても「私」はどんどん変わって行っちゃうし、それが希望なんだってシンプルな主張じゃないですか。「確固たる私」じゃなくて「変わってゆく私」を前提とする世の中ってワクワクすると思う。2014/03/05