出版社内容情報
「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ。そういうものなのさ」
自由と孤独を愛するスナフキンは、はい虫にまとわりつかれて腹を立てますが、名前をあげた はい虫が去ってしまうと……(「春のしらべ」)
「ママ! パパ! ちびが食べられちゃったよう」
うそをつくのが止まらないホムサは、ちびのミイにこっぴどくだまされて……(「ぞっとするはなし」)
(ついに来たのよ。とうとう、なにもかもが最悪になるんだわ)
理由のない恐怖におびえるフィリフヨンカ。ついに、ほんとうに嵐がやってきて……(「この世のおわりにおびえるフィリルヨンカ」)
「人はおどされてばかりいると、だんだん姿が見えなくなっちゃうものでしょ?」
おばさんに皮肉をいわれつづけて姿が見えなくなってしまったニンニ。ムーミンママを助けようと怒ったときに……(「目に見えない子」)
だれかとの出会いによって、ムーミン谷の生きものたちが自由と自分らしさを取りもどす、9つのお話。
『ムーミン谷の仲間たち(原題 DET OSYNLIGA BARNET)』は1962年に発表された作品で、原題は「見えない子ども」というような意味になります。発表された順番だと6番めのムーミンのお話になり、全9冊のなかで唯一の短編集です。
ながく愛読されてきた児童向けのハードカバー版「ムーミン童話集」(1990年初版 全9巻)の改訂版「ムーミン全集[新版]」が2019年より刊行されました。スナフキンの「ランドセル」を「リュック」、「大きな洋服だんす」を「クローゼット」にするなど、いまの言葉にあわせた、より読みやすいムーミンの物語になりました。
講談社文庫では、1978年からムーミンの物語をご紹介してきました。本書は、2025年ムーミン誕生80周年記念として、2020年の改訂版のテキストにあらためた[新版]です。トーベの手になる美しい挿絵とともに、ムーミンの物語をお楽しみください。
《収録》
解説……山室 静
ムーミン谷の魅力6『ムーミン谷の仲間たち』だれにも、変わる、瞬間がある……冨原 眞弓
*この本は『ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たち』(2020年講談社刊)の文字づかい等を改めたものです。
*中学生以上漢字にふりがな
内容説明
「人はおどされてばかりいると、だんだん姿が見えなくなっちゃうものでしょ?」おばさんに皮肉をいわれつづけて姿が見えなくなってしまったニンニ。ムーミンママを助けようと怒ったときに…。(「目に見えない子」)だれかとの出会いによって、ムーミン谷の生きものたちが自由と自分らしさを取りもどす9つのお話。
著者等紹介
ヤンソン,トーベ[ヤンソン,トーベ] [Jansson,Tove]
1914年8月9日‐2001年6月27日。画家・作家。彫刻家の父、挿絵画家の母のもとにヘルシンキで生まれ、幼い頃から画家を目指す。ヘルシンキ、ストックホルム、パリで絵を学び、政治風刺雑誌『ガルム』や児童書、新聞の挿絵等を精力的にこなした。ムーミン小説9作品は、戦争中、自分自身の安らぎのために執筆した『小さなトロールと大きな洪水』(1945)から始まった。1966年国際アンデルセン賞受賞、1976年プロ・フィンランディア勲章受章
山室静[ヤマムロシズカ]
1906年‐2000年。文芸評論家・翻訳家。鳥取県生まれ。岩波書店退社後、東北大学美学科で学ぶ。1964年『ムーミン谷の冬』を翻訳し、日本に初めてムーミンの物語を紹介した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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