内容説明
人はなぜ不合理な行動をするのか。誘惑に弱く、物事を先延ばしにしがちな人間。その情動から見えてくる、人間本性とは?
目次
序論 よみがえる情動の哲学[信原幸弘]
1 情動の多面性
2 情動の合理性
3 情動と人生の意味
I 情動の機能
第1章 情動の本性[服部裕幸]
1 「情動とは何か?」という問いについて
2 情動とは何か──生理学的反応説vs認知説
3 「氏か育ちか」──生得主義vs社会構成主義
4 情動と志向性──情動の実存主義的理解
5 基礎的情動
6 まとめ
第2章 自己制御と誘惑[西堤優]
1 二重システム理論と自己制御
2 自己制御における情動の必要性
3 価値の時間割引
4 自己制御の喪失とそのモデル
5 むすび
第3章 先延ばしと情動[信原幸弘]
1 先延ばしの種々相
2 なぜ先延ばしは起こるのか
3 選好と意志
4 先延ばし対策から見える人間の本性
5 むすび
II 情動と不合理性
第4章 自己欺瞞[柏端達也]
1 標準的な特徴づけとその周辺
2 自己欺瞞をめぐる四つの問題
3 戦略上の問題と意図性
4 構造上の問題と非合理性
5 まとめ
第5章 妄想とその原因[宮園健吾]
1 はじめに
2 妄想とは何か
3 妄想についての三つの問い
4 妄想はどのように形成され、維持されるか
5 妄想と情動
6 結論
読書案内
あとがき[太田絋史]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
ジェイムズに関する部分が読みたくて。「常識的な見方をくつがえしたのがウィリアム・ジェームズである。ジェームズは、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだと主張する」「突然巨大な熊が目の前に現れたら、私たちは恐怖で足がすくむだろう。このとき、アドレナリンがいつも以上に分泌され、心臓は激しく鼓動し、筋肉は強ばり…などといった変化が生じる。そして、私たちはこれらの変化を感じ(feel)とる。この経験が、ジェームズやランゲによれば、情動ーこの場合は恐怖ーなのである。この説は…ほどなく強い批判にさらされた」2020/10/12
いつき
2
特に、先延ばしに関するところと、妄想に関するところが興味深かった。前頭葉の一部(vmpfc)を損傷した患者は、選択肢同士を比較してどちらが良いかを正常に評価することはできるものの、その評価に合致した選択や行動を起こすことができないという話など。本の最後に、関連する内容の文献を紹介する読書案内がついているのもありがたい。2023/02/17
あがにゃん
0
Ⅰの最後の章に情動の話が出てきたので先にⅢを読んだ。情動の抹消起源説や情動中枢、ダマシオのスマティックマーカー仮説、最終章にはカプグラ妄想やコタール妄想の話が出てきており、精神医学や心理学の基礎的な知識があればより理解が深まるような本でとても興味深かった。2021/01/18
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