内容説明
人が手を挙げようと意志するよりも前に、脳は手を挙げるという指令を出している! 科学的探究によって揺らぐ「自己」を問い直す。
目次
序論 意識をめぐる問題圏[太田紘史]
1 現象的意識と説明ギャップ
2 意識的知覚の科学的研究
3 意識の統一性と自己の実態
I 意識的な知覚と内容
第1章 意識の概念と説明ギャップ──クオリアは分析可能か?[山口尚]
1 歴史的背景──同一説と機能主義
2 説明ギャップの問題──ジョゼフ・レヴァイン
3 論点の一般的な整理(1)──心の哲学における論戦の地図
4 論点の一般的な整理(2)──レヴァインへの応答の分類
5 二元論とタイプB物理主義──クオリアの分析不可能性にもとづく議論
6 タイプA物理主義──ギャップを気にしないことと「開示テーゼ」の問題
第2章 視覚意識の神経基盤論争──かい離説の是非と知覚経験の見かけの豊かさを中心に[佐藤亮司]
1 序
2 意識のグローバルワークスペース説とブロックの二つの意識
3 論争の評価とブロックの立場の難点
4 見かけの豊かさを説明する
5 結 論
第3章 われわれは何を経験しているのか──知覚と思考、概念、意識研究の方法論[鈴木貴之]
1 準備作業
2 保守派とリベラル派の争い
3 知覚と思考
4 知覚経験の内容を明らかにするにはどうしたらよいのか
II 意識の構造と自己
第4章 意識経験の構造を探る──現象的統一性と因果的統合性[太田紘史]
1 意識経験の統一性
2 統一性の諸概念
3 意識経験の構造──因果的統合性と現象的統一性
4 意識経験の構造のモデル
5 結 語
第5章 自我性を求めて──物語的自我・現象的自我・脳神経科学[福田敦史]
1 はじめに
2 物語的自我
3 現象的自我
4 脳神経科学
5 自我についてどのように考えればよいのか──まとめにかえて
第6章 意識的意志は誰にとって幻想なのか──意識的意志、自己、自由意志の関係について検討する[鈴木秀憲]
1 『意識的意志の幻想』
2 『行動と脳科学』誌での討論
3 意識的意志と自己概念
4 意識的意志と自由意志論
5 結 語
読書案内
あとがき[信原幸弘]