内容説明
隋の煬帝とは従兄弟、北朝の名門・季淵が挙兵し、次男・季世民の活躍で、無血の政権獲得に成功。唐王朝が、うぶ声をあげた。女帝・武則天の周をはさんで、絢爛たる時代が花ひらく。玄宗皇帝の宮廷に、楊貴妃の笑声が、乱舞する美女群の嬌声が、弦歌の音色とともにこだまする――中国史の醍醐味の極みを描く。<全6巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
76
隋から唐へ。そして中国史唯一の女帝則天武后の治世を経て、安史の乱が起こるあたりまで。日本史のこの辺りの時代が大好きなせいか、その日本の交流が盛んであったこの時代を興味深く読んだ。しかしこの一時代を単に中国側から見れば、長期政権による内部からの腐敗により唐も晩年を迎えるという中国史でよく繰り返すパターンの一つに過ぎない!とはいえ、李世民、則天武后、楊貴妃など、この時代に登場する魅力的な人物たちで描かれている物語を楽しんだ。やはり「中国の歴史」よりこちらの方が読みやすい。2016/03/15
紫陽花
37
唐の時代です。日本では遣唐使が派遣されており、馴染みのある時代かと思いますが、物凄く乱れます。則天武后、楊貴妃…帝室も家庭問題が揉めまくり、家臣団も勢力争いで、権謀術数が渦巻きます。権力というものは人を変えてしまう魔物。これは政治の話だけでなくどのような組織にも、いつの時代にも言えるのではないでしょうか。身を律していかなければなりませんね。2019/02/18
ジンベエ親分
37
この巻は随の滅亡、唐の建国から安史の乱(楊貴妃の誅殺)まで。件の高校の教師はこのあたりの時代にはさほど興味はなかったらしく、講義はあっさりしたものだったが、改めて通読すると面白い時代。中国史上No.1の名君と言われる唐の太宗が、皇太子だった兄と弟を殺してクーデターによって皇位に就いた、とか歴史として知ってはいたが、改めて読むと生々しい。他にも三蔵法師や阿倍仲麻呂が出てきたり、武則天が一時的に唐を簒奪したり、玄宗と楊貴妃の悲劇があったりと賑やか。にしても、ここまで来て日本はようやく記紀の時代か…2017/12/08
崩紫サロメ
28
隋末から安史の乱まで。個人的にとても好きな時代。というか、これを読んで隋唐面白いなあとはまり込んでいった覚えがある。唐の建国、兄弟の争い、女帝の時代……更には日本や新羅、高句麗の話も自然な形で入っているあたり、流石陳舜臣だなあと思う。武則天、太平公主のあたり、初めて読んだ人でももっと知りたくなるんじゃないかなぁ。太平公主の最期のところ、異説が紹介されていたのもいい終わり方。2020/02/05
さよちゃん
24
唐といえば、映画「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」を思い出しました。煌びやかで華やかな時代、のイメージ。映画では楊貴妃は何の罪もないのに、生きたまま棺桶に入れられて死んだ、という残酷描写でしたが、この小説では罪がなかったわけではないのね、ということと、どうやらぽっちゃり系だったよう、という新解釈を知り興味深かったです。2020/09/28