内容説明
厳戒態勢の北方領土で、又三の密漁船が暗躍する!
天下の風来坊・作田又三、24歳にしてソ連との国境の町・根室に立つ。
一生に一作しか書けない小説。『錨を上げよ』には私のすべてが詰まっている。
――百田尚樹
●あらすじ
麻雀店員、見習いホスト、右翼団員、パチンコ店員、レコード店員……。
昭和五十年代の東京を漂流するように仕事を転々とする又三は、ある日憑かれたように北海道根室の地に立つ。
北方領土の海に跋扈する密漁船に乗った又三に迫る、ソ連の警備艇。
利権を狙う地元ヤクザとのトラブルも勃発し――。
野生を剥き出しにした又三が北の荒海で暴れ回る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミッフー
95
少し間を開け第三編へ🏃♂️何となくこの物語、五木寛之「青春の門」の模倣⁉️硬派度合いでは五木氏に分がありだけど 💦二十代の半ばにして腰を据え一つの道を突き進むどころか、益々暴力的になり職を転々、しまいには北方領土の海でウニ密猟に本気になる主人公又三😓チンピラやヤクザとは常に血を見るイザコザ起こすのに、ソ連警備艇からは常に逃げ回るその姿に失笑🤪恋仲になった大人の女性喫茶店ママ久子、彼女の過去がソープ嬢だと知り激高する又三、「お前ナンボのもんやねん」とツッコミ入れる僕😅さあ、次はいよいよ最終編👍2020/08/19
けぴ
50
又三は大学を辞めて東京へ。麻雀店員、ホスト、右翼団員、パチンコ店員。レコード店でクラシックレコードの担当となり、アルバイトの聡子と一緒に輸入レコードを手掛けるストーリーはワクワクした。聡子と結婚も考えるようになるが大阪の祖母が亡くなり帰省。その間に聡子が心変わり。傷心の又三は北海道に渡り根室で漁師をするようになる。自分で漁船を購入してロシアとの国境でのウニの密漁に手を出してぼろ儲けするが長くは続かずヤクザに取り込まれ身ぐるみを剥がされる。ぼろぼろの又三は久子と今までにない恋をするが束の間の幸せ。最終巻へ。2022/02/20
ミスターテリ―(飛雲)
40
やっと大学に入り普通の人生を歩むかと思えば、突然北海道へ。感情のままに突っ走る性格は変わらず。密漁船に乗ってこれだと思ったら自分で船を調達、ヤバイところで金を借りまくって、まさに有言実行、その行動力、バイタリティーがまさしく作者の生き方につながるのだろう。さすがにソ連船に追いかけられ命からがら逃げるのは、いくら自伝的作品といってもさすがに・・そして久子には「あなたみたいな賢くて頭も切れる男が、まるで野生の本能に従って生きているようなところが、すごく面白いのよ。」そうズバリ、ここにこの作品の面白さがある。 2024/10/07
reo
37
作田又三大学生活に見切りをつけ、出発した先は東京。行き当たりばったりでホストをしたり、右翼の隊員にスカウトされたり、パチンコ屋の店員になったり、何やかやでレコード屋の店員へ。この仕事は経営者の片腕と見込まれるくらい上手くいっていたが、女に振られヤケクソになり経営者と喧嘩。大阪に戻りぶらぶらしていたとき、北海道のタラ漁の様子をテレビで観て、矢も盾もたまらず一路根室へ。そこでウニの密漁に手を染める。領海侵犯でソ連の警備艇に追い回されたり無茶苦茶やが金は手にする。結局女に振られ喧嘩でボロボロになり…。最終巻へ。2025/01/06
ぼっちゃん
31
単行本で読んだときに一番印象に残った「嵐」の章。ウニの密漁に明け暮れる破天荒の又三が面白い。4巻へ。2019/10/27