内容説明
日本の成り立ちを現地取材で謎解き。
直木賞作家・安部龍太郎氏渾身の歴史紀行。〈古代日本人はなぜ大和の地を中央集権的な都として選んだのか?〉という大命題を黄巾の乱以降混乱した中国、朝鮮半島情勢を受けた〈三世紀の明治維新〉の影響だったという説を現地取材から読み解く章からスタート。
以下、〈国譲り神話をめぐる出雲と大和の関係〉、〈文字がまだなかった時代の出雲から出土した硯の謎〉、〈神武天皇上陸伝承地・熊野〉、〈秦の始皇帝に具申したうえで日本にわたって来た徐福上陸地から出土した秦の半両銭〉、〈中世の天皇家が繰り返し参詣した熊野三山の絶景〉、〈奈良大仏と八幡神のふるさとの関係〉、〈対隼人の最前線だった国東半島〉、〈大和と密接な関係を築いた古代丹後王国〉、〈丹後半島甲山から見た日本海の絶景〉、〈日本海三大古墳と大和の関係〉、〈対蝦夷の最前線軍事基地としての房総半島〉、〈大和との密接な関係を示唆する房総半島の古墳群〉、〈最初の前方後円墳「箸墓古墳」と最後の前方後円墳「浅間山古墳」〉、〈四国の阿波と房総の安房を結んだ黒潮〉など、古代日本の成り立ちを丹念に解き明かします。
※この作品はカラー写真が含まれます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
199
安部 龍太郎は、新作中心に読んでいる作家です。月刊「サライ」連載「半島をゆく」を書籍化した歴史エッセイ紀行、写真や地図も多く読んでて楽しく古代浪漫に浸れる本です。万世一系は眉唾だし、藤原不比等の凄みを感じました。昨年、伊勢詣に行ったので、コロナ禍が落ち着いたら、是非熊野詣に行きたいなぁ。 https://www.shogakukan.co.jp/books/093434452021/01/30
Ayako
22
現地取材に基づき、日本がどのように形作られていったのかを探る一冊。古代の遺跡が、長い年月を超えて現代の私たちに語りかけてくれる事にロマンを感じる。同時に、地元の郷土史家や学芸員、ボランティアガイドの方といった歴史を大切に守り、次の時代に伝えていこうとする人々の努力を忘れてはならないと切に思った。写真も多く収録されていて、旅行気分も味わえた。2021/02/10
shigeki kishimura
9
古代から各地に人が住んでいたという当たり前の事実に気づかせてくれますね。2021/03/24
coldsurgeon
9
大和朝廷成立前後の日本を知るための旅行記。九州から関東にかけて存在する古墳や社寺仏閣を、大和朝廷の関連性にもとづいて尋ね歩く。いつか自分の足で歩き、目にしたい。そうしないと、それらが持つ霊気のようなものを感じ取ることが出来ない。2021/01/18
鬼山とんぼ
7
中高年男性を狙った月刊誌サライで6年半に及んだ散発的連載の総集編。それが弱点で読んだ人が少ないのは残念だが、内容は安部龍ファン必読のハイレベルなものとなっている。歴史小説は時代考証と作家の創作力の絶妙なミックスによる、ドラマ性とリアリティーの相乗効果が大事だ。何より作家自身がのめり込んでいくぐらいでないと読者を引き込むことなどできない。自分が作品で扱った場所や人物を、後日に現地に赴き当地の専門家の話を聞くという作業は、より深い洞察または誤解の修正として、いずれにせよ作家に段違いのインパクトを与えたはずだ。2022/12/13