内容説明
情報に感染し、人は動かされる
2020年春、新型コロナウイルスが世界を席巻する。大型連休を目前に控え、内閣総理大臣は特措法に基づく緊急事態宣言を発出し、人々には外出自粛を、人が密集する事業所には営業自粛を求めた。「命を守るため」という触れ込みであった。
しかし、日本は他国と比べて異常に死者数が少ないというデータが出続ける。何が真実なのかまったく不透明な中で、人々は不確かな情報に感染(=インフォデミック)し、合理的な判断を下せなくなる。そんな中、「人は死ぬときは死ぬ」とライブ活動を続ける伝説的なミュージシャン・浅倉マリがメディアに登場。真行寺は高齢な浅倉の監視と説得を、水野玲子捜査一課長に命じられる。果たして、浅倉が仕掛けた引退コンサートはどのような結末を迎えるのか?
コロナ禍の現在をリアルに抉る超エンターテイメント
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
み
19
攻めてますね、このシリーズ。テーマが興味深いです(^^)あの自粛生活、今なら実感として思い返せますが、十年後には、どんな風に読まれるんでしょ?2024/02/16
ぷにすけ
15
コロナに振り回される中、突然の大物ミュージシャンのコンサートの発表。当然、真行寺に中止させるよう説得しなさいと上司から命令がくるのですが、説得できるわけもなく何故か上司も説得できないことを怒らない?そして、これまで真行寺の味方だったはずの人たちが実に冷たく感じられるなぁと思ったら、コンサート開催の裏にボビーの影がチラチラ。娘のように可愛がってたサランには、いいように使われた感があり流石に真行寺が可哀そうになりましたが、納得できない部分は、「コールドウォー」を読めばわかるかなぁ。2021/02/28
ダリル
7
真行寺弘道シリーズ⑤今回は、コロナ禍での音楽イベント。このシリーズ、一貫して技術と自由をテーマにしている。人々の行く末を暗示しているようで怖くもある。2024/07/11
tmctmhs
7
コロナ禍に真正面から向き合ったシリーズ第5作。ほぼリアルタイムに時事を取り入れるスタイルなだけに避けて通れなかっただろうけどいつも以上に気も使っただろうなと思ってたら珍しく付いてた後書きにそのあたりの事が触れられていた。自分はとても面白いフィクションとして今回も読んだ。それよりも、過去作の説明が時折入る集大成的な雰囲気があってまさかこれでシリーズ完結か?と読みながらヒヤヒヤしてた。単に初読みの読者が増えるであろう事への配慮だったのかも。ともあれまだまだ続くようで嬉しい。そして年明けにはDASPAの新刊が!2020/12/12
ガブリエル
6
巡査長真行寺弘道シリーズ第五弾。 コロナパンデミックの中での自粛ムードへの疑問を投げかける本作。サランのイキった態度にうんざりする。マリやサランの言う自由は自分さえ良ければいいという甘えで、吉良が言ったように自由を求めて社会の外に出て、そこに自分たちだけのコミューンを作ってから叶えてくれと心底思う。という訳で、シリーズ5作一気読みしたんだけど、だんだん真行寺の行動が鼻についてきたのと、自由への考えが子供染みているように思えてきて、ここらが潮時かな。 とりあえず、DASPAシリーズは読みますか。2022/07/24