内容説明
53歳の真行寺弘道は、「巡査長」という肩書きが警視庁捜査一課で異例なだけでなく、きっちり公休を取り自宅のオーディオでロックを聴くのが楽しみという、刑事としてはかなりの変わり種。捜査の「お約束」である所轄刑事との相勤を避けて単独行動するなど、型破りな行動・言動で知られている。これまた異例ながら、キャリアで捜査一課長の水野玲子警視に命じられた真行寺は、八王子の高級老人介護施設で起きた入居者死亡事件を捜査する。AI搭載の人型介護支援ロボットが関わっているらしいその事件を調べるうちに、真行寺は、自らの職業を「ハッカー」と称するオーディオマニアの青年・黒木良平と親しくなった。同事件の捜査が一段落したところに、水野課長から連絡が入る。元警察官僚で衆院議員の尾関一郎が新宿のホテルで変死したという。捜査を進めるうちに、この事件の背後に政界・芸能界・反社会的勢力などが連なる大きな組織の存在をかぎ取った真行寺は、黒木の力を借りて真相に迫るが――。
ゲノム編集や文明社会など幅広くリアルな知見に裏打ちされた、圧倒的なスケールの痛快エンターテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
75
なんでか気になって。53歳巡査長の真行寺、それでも捜査一課で刑事をやっている。趣味のロックを聴くために真空管を買いに行った秋葉原で1人のハッカーに出会う。2人はホテルで死んだ政治家の謎をおう。国民総情報化を巡る陰謀と、人を丸裸にするような情報戦で戦う。もちろん事件は握りつぶされるが。。。自由とは?ロックや音楽論を交えながら、哲学的なやり取りも交えて物語は進む。面白いんだけど、政治論とか振りかざされると萎える。海外の刑事小説みたいな感じね。続編はいいかな。2019/05/16
ナミのママ
69
『DASPA』が面白かったので積んでいたこちらのシリーズも読んでみました。捜査一課のシリーズもの…どれも似たような話かとあまり期待していなかったけど。なかなか不思議な魅力があり、最後まで飽きずに楽しめた。事件のスケールも、奇想天外な行動も、ありえないだろうけど、それがまた面白い。続いているシリーズなのも納得。追いかけてみたい。2021/02/22
つねじろう
58
はい大変ユニークなお巡りさんです。警視庁捜査一課で50過ぎても巡査長。おっこれは新宿鮫バージョンかと思いきや自由を身上とする生き方の問題でそれを失わないために昇進試験は受けない。そんな結構ナマケモノ的な人物です。実際サボるし遅刻もします。それでいて難事件を解決したりするのでまあやっかいな存在なのです。大のロック好きでオーディオマニアなところから天才ハッカーと出逢ったりして物語はどんどん膨らみ味のあるキャラが周囲を固め始めます。妄想推理がことごとく当たってしまうご都合主義に呆れながらも予想外に楽しめました。2020/07/13
しょう
44
自身の自由の獲得のために巡査「長」というヒラの座に収まっている真行寺捜査一課内でも異端ともいえる存在で単独行動を好み、ややだらしない性格だからか上からは多少煙たがられるが、決して取っつきにくいという訳ではなく、むしろ人間味のある人物となっている。議員変死事件に関わるようになってからもハッカーの黒木の力を借りつつも捜査を続ける。事件を追うのと同時に人としての真行寺の人となりにもせまっており、こちらの方も読みごたえがある。ミステリーとしても中々のもので、壮大な話をきちんとまとめた感はある。→2024/01/21
ぷにすけ
39
事件発生時の最中に、堂々と公休を取ってしまう警視庁の巡査長「真行寺弘道」。53歳にもなってヒラである真行寺だが腕がたつことで皆から一目をおかれている。「隠蔽捜査」の「竜崎所長」とまさしく正反対の性格。しかもこの男が関ってくる事件のなんとめんどくさいことか!それに引き替え音響関係のシーンの楽しいこと楽しいこと!オーディオマニアにお勧め!2021/01/30