内容説明
53歳の真行寺弘道は、「巡査長」という肩書きが警視庁捜査一課で異例なだけでなく、きっちり公休を取り自宅のオーディオでロックを聴くのが楽しみという、刑事としてはかなりの変わり種。捜査の「お約束」である所轄刑事との相勤を避けて単独行動するなど、型破りな行動・言動で知られている。
そしてこのベテラン刑事、ヒラなのに、やけにデカい事件に当たる。
元警察官僚の尾関一郎衆院議員変死事件に続くヤマは、インド人変死事件。荒川沿いを流していた真行寺は、捜査員たちに出くわす。河川敷で死体が発見されたという。やがてこの死体はインド人男性のものであることが判明。死体の耳の周囲に残る火傷に着目し、事件性を感じた真行寺は、インドを専門とする若き研究者・時任の協力を得て真相に迫るが――。
シリーズ第1巻『巡査長 真行寺弘道』が、読売新聞、しんぶん赤旗、産経新聞、「小説推理」、「stereo」など各紙誌で絶賛された、圧倒的なスケールの痛快エンターテインメント第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
55
シリーズ2作目。主人公・真行寺のマニアックぶりに磨きがかかり、ますます個性的なキャラクター。今回の事件は河川敷で見つかったインド人の遺体。ここから宗教、カースト制度へと話は膨らむ。この作家さんの脳内は宇宙か?よくいえば読み応えありなんだけど、流し読みはできないストーリー。2021/02/26
mittsko
22
シリーズ二冊目、半年で二冊出しちゃうという並外れた筆力! 私、こちらの二冊目の執筆に協力させていただいた者なんですが、利害関係抜きに、公正な感想として「大変面白かった!」です。自由を求めるロックな生き様を貫く捜査一課のヒラ刑事が、ある殺人事件をきっかけに、今回もまた人間存在の矛盾そのものであるような問題(宗教、神、生まれ、差別…)へと直面させられます。事件の謎は何であり、そこに主人公はどう迫っていくのか、ハードボイルド・ミステリ小説の快作!(*´ω`*) なお、二冊目のこちらから読んでも問題なしです!2018/09/21
み
21
真行寺さんシリーズの2作目。宗教絡みですが、理屈っぽいですが、ぷち黒い結末ですが、面白かったです^ ^そして、同居人くんとの暮らしはどうなるのかな?不思議な魅力ですね、真行寺さん。2024/02/04
RIN
21
真行寺弘道、彼は一体どこに向かい何がしたいのだろう。出世を拒否した53歳の平警官が倫理と道徳と思想を捏ねくり回して最終的に『俺は俺だ、文句あるか』と全てロックで片付ける警察小説の顔をしたファンタジー。インドで脈々と受け継がれる胸くそ悪いカースト制度に焦点をあて、神と義務に疑問を呈す。遠い異国の男には理不尽な現状を打破する力があり、更に命をかける覚悟があった。ラストは賛否あるだろうが、きっと彼はツケを払っただけだ。だからいつか真行寺もこのツケを払う日が来るだろう。人は神にはなれない。故に創造主にはなれない。2022/08/24
もえたく
19
クセモノ巡査長真行寺がデカい事件を引き当てるシリーズ第2弾。今回の事件はインド人変死事件。インド専門の研究者と前作のハッカー黒木の協力を得て、カースト制にまで踏み込んでいく。「インドがイギリスから独立する時に深刻な問題に発展。イスラム教徒が自分の国が欲しいと言って譲らず、ガンディーの説得も空しく、分裂してできたのがパキスタン」なかなかミステリーにないテーマで戸惑う部分もありましたが、主人公のゆるさがアクセントとなって読まさせられます。2019/03/21