内容説明
1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
464
ついに文庫になったので、購入。村上春樹健在。主人公青豆と天吾の不思議な物語が交互に描かれ、その世界がいつかクロスするであろう序章。1984年ごろの 事件・風景はひどく懐かしい。そんな時代を生きてきたことも実感できる。2012/04/30
zero1
433
長いが、いつの間にか作品世界に没頭してしまう。予備校の数学講師で小説を書く天吾と現代の仕事人、青豆。二人が交互に描かれる構成は「世界の終り」を思い出す。青豆は首都高の階段を使ったことでパラレルワールドに。警察官の拳銃を見てそれに気が付く。もうひとつの特徴はまだ出てこない。天吾は女子高生の書いた小説を書き直すことに。この作品はオーウェルの焼き直しではなくNHKや某宗教団体が描かれている。再読する度に感想が違うのはいかにも村上作品。朝日新聞【平成の30冊】第一位。二人の物語はどこでクロス?第二巻に続く。 2020/01/11
tokko
372
文庫化されるまでは読むまいと決めていたので、とても待ち遠しかった。世間であまりにも取沙汰されているので、「村上さんらしさ」が失われていやしまいかと不安だった。が、そんな心配は一切無用でした。二つの物語が交互に進むのは「世界の終わり」や「海辺のカフカ」でもおなじみだが、それぞれの世界が繋がりそうで繋がらないもどかしさは、パワーアップしている。今のところ「過激派『あけぼの』の銃撃戦」というキーワードが唯一の共通項だ。これからどのようにリンクしていくのだろう?2012/04/15
扉のこちら側
272
初読。序章といったところで大きな動きはなし。今日中に後編読了できればいいな。2012/04/01
kaizen@名古屋de朝活読書会
271
流行作家なので手に取った。読んでいて、流行る理由は分かる。 自分が今必要とする作品ではないと感じた。 文章は旨いのだろうが、題材が自分にとっては現実味がない。既視感だけはある。 一昔、田中康夫のなんとなくクリスタル、村上龍の限りなく透明に近いブルーを読んでいるような、文字だけが流れて行く感じを持った。 全巻読破できるかどうか、何度か挑戦してみたい。新潮文庫100冊 2013/07/19