内容説明
時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた! 鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす――。歴史小説の新たなる傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おにく
32
"百年戦争"というとジャンヌダルクの逸話が有名ですが、こちらは戦乱の初期、イングランドに対し古い騎士道精神で特攻し、ボロ負けしていたフランス軍に連勝をもたらした軍人ベルトラン・デュ・ゲクランの一代記。その異形とも云える姿態のため、不遇な少年時代を過ごした彼は、その体型を生かした戦闘スタイルと戦術で徐々に名を上げ、敗戦の責任を一身に背負っていた王太子シャルル五世と運命的な出会いをする。戦うこと以外、何をするにも頼りないデュ・ゲクランの周りには多くの人が集まり、彼の人生は上り調子。非常に痛快な戦記ものです。 2022/05/14
Fondsaule
30
★★★★☆ 中世フランスの実在の軍人ベルトラン・デュ・ゲクランがモデル。 破天荒・大胆不敵なようで、実は緻密に計算された行動で、決闘を制したり、混乱のパリからシャルルを脱出させたり、すごいやつだった。2019/09/22
しーふぉ
27
100年戦争のフランス、100人規模の傭兵の大将デュ・ゲクランの活躍の物語。作者の言葉を借りるなら「後に賢公と称賛されるシャルル5世と、後に軍神と崇められるデュ・ゲクラン大元帥の、水も洩らさぬ対話が始まろうとしていた。フランス史上最強のデュオが誕生した瞬間だった」ライバルも鉄人チャンドス、戦の名人グライーと魅力的。下巻へ2017/04/14
アマヤドリ
20
面白くて一気に読んだ。つい最近昔のパリの地図を貰って現在の町と比べながら歩くのが自分の中で流行っているので、描写されている町の雰囲気が楽しい。シャトレからシテ島に渡る今はない橋、市庁舎の門に刻まれた文字…。2016/01/26
ヨクト
17
これはべらぼうに面白い。上巻だけで600頁弱の大作だが、それでも短く感じるほどに圧倒的に面白いのだ。時代はフランスの百年戦争。ジャンヌダルクの陰に隠れたフランスの英雄、デュ・ゲクランという実在した人物の物語なのだが、彼のキャラクタや彼を支える仲間や彼と戦う好敵手が物語を熱くさせる。彼の規格外の破天荒さ、下巻でも楽しみだ。2017/02/14