- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
蒙古は上陸に失敗していた! 秀吉には奇想天外な戦略があった! 大和には活躍できない理由があった!
日本史の3大ミステリーに、映画『アルキメデスの大戦』で戦艦の図面をすべて描いた船舶設計のプロが挑む。
リアルな歴史が、「数字」から浮かび上がる!
【謎の一】蒙古軍はなぜ一夜で撤退したのか?
最初の蒙古襲来「文永の役」で日本の武士団は敗北を重ね、博多は陥落寸前となったが、なぜか突然、蒙古軍が船に引き返したのはなぜか?
【謎の二】秀吉はなぜ中国大返しに成功したのか?
本能寺の変のとき備中高松城にいた羽柴秀吉が、変を知るや猛スピードで2万の大軍を率いて京都に戻り明智光秀を破った「中国大返し」はなぜ実現できたのか?
【謎の三】戦艦大和は「無用の長物」だったのか?
国家予算の3%を費やし建造された世界最強戦艦は、なぜ活躍できなかったのか? そこには帝国海軍が冒していたある致命的な設計ミスが影を落としていた――。
小さな「数字」を徹底して読みとり、積み重ねていくと、
大きな「真実」のかたちが見えてくる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
149
ブルーバックスで日本史!蒙古襲来、秀吉の中国大返し、戦艦大和を取り上げる。著者は船や海の専門家としての観点から、これら史実を見直す。文永の役では蒙古軍が900隻の軍船と3万人の兵で博多湾から上陸、九州は陥落寸前であったが、突如退却し軍船に引き返す。その夜、暴風雨(神風)が吹き荒れ、海の藻屑に…という通説を疑う。「八幡様の御加護」や「台風説」などを退け、合理的積算から高麗の造船能力や兵員数を見積もる。また、投錨地は今津浜とみて『蒙古襲来絵詞』を読み解き、鎌倉武士団の抵抗により敗走、撤退を決めたと推測する。2020/11/18
ひこうき雲
130
昔から不思議だったんですよね。よく「何万」という兵力が出てくるが、あの時代そんなに戦場に行ける人がいたの?とか、食料どうしたの?とか、馬、どこから集めたの?とか。ほとんどの歴史公証本は記録に基づき推理はするけど、なぜか数字の検証は行わない。この本、そういった意味ではすごく画期的です。ぜひ第2段もお願いします!2020/12/12
trazom
123
著者が造船技術者というのがミソ。船の視点から3つの事例を検証するのがユニーク。九百隻の蒙古軍船が作れたか、3万人を収容できたか、博多湾の水深分析から新たな上陸地点を提示など、鋭い指摘。秀吉の中国大返しでも、海路の可能性の論考は一定の説得力がある。一方、戦艦大和になると著者は一気に情緒的になる。「大艦巨砲主義は時代遅れではない」「アウトレイジ戦法がいけなかった」「「栗田ターン」がなかったら…」など擁護と愚痴が迸り、「サイエンス」からどんどん外れてゆく。それはそれで、造船屋さんの人間味が溢れて微笑ましいが…。2021/01/14
やいっち
111
「蒙古は上陸に失敗していた! 秀吉には奇想天外な戦略があった! 大和には活躍できない理由があった! 日本史の3大ミステリーに、(中略)船舶設計のプロが挑む。リアルな歴史が、「数字」から浮かび上がる!」といった本。2021/09/26
きみたけ
107
著者は映画「アルキメデスの大戦」で製図監修を担当した造船エンジニアの播田安弘氏。歴史家ではなく船作りのプロの目線から、蒙古襲来、秀吉中国大返し、大日本帝国海軍の敗因の謎に「数字」で解明していく異色の一冊です。 文永の役で日本を危機に陥れた蒙古軍は、なぜ進撃を続けず、一夜にして兵を引いたのか?歴史の教科書では暗記項目としてさらっと通り過ぎますが、真相を突き詰めて考えていくとその巨大な数字のリアリティーや「奇跡」「伝説」への疑問が湧き、わたしもワクワクして読むことができました。歴史好きの方にオススメの本です。2021/09/11