スピノザの診察室

個数:1
紙書籍版価格
¥1,870
  • 電子書籍

スピノザの診察室

  • 著者名:夏川草介【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 水鈴社(2023/10発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784164010068

ファイル: /

内容説明

現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した、「人の幸せ」とは。

380万部のベストセラー『神様のカルテ』を凌駕する、新たな傑作の誕生!

その医師は、最期に希望の灯りをともす。

【あらすじ】雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。

●著者より 読者の皆さまへメッセージ
医師になって二十年が過ぎました。
その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
今は、先の見えない苦しい時代です。
けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。
少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。
彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。
すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。
本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。
(夏川草介)

●著者プロフィール
夏川草介(なつかわ・そうすけ)
一九七八年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。?野県にて地域医療に従事。二〇〇九年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は二〇一〇年本屋大賞第二位となり、映画化された。他の著書に、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』など。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

1000
夏川草介は初読。タイトルに魅かれて。カントでもヘーゲルでもなく、スピノザというところがいい。題名の由来は本文中でヴァリエーションを含めて何度かさりげなく語られる。プロットの展開は青春小説そのもの。実に爽やかで胸が熱くなる。ありえたかも知れない(実際にはありえないのだが)遅咲きの青春を追体験することができる、数少ない小説の一つだ。もっとも、主人公は38歳で若白髪で一見冴えない哲郎なのだが。それはおそらく、自身が医者でもある夏川の理想の医師像なのだろう。小説の終盤に語られるスピノザに再び強く共感する。お薦め!2024/07/28

starbro

868
夏川 草介は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。本書は、哲学的幸福論医療連作短編集の感動作、偶然にも発売日が私の誕生日でした。シリーズ化しそうな予感です。何時か未読のスピノザを読んでみたいと思います。この世でぜひ味わうべき三つの食べ物が「矢来餅と阿闍梨餅と長五郎餅」だと知りました(笑)私は大腸癌の吻合不全でリオペとなりました。雄町哲郎のような医師に主治医になっていただき、最期は看取られたいと夙に願っています。 https://www.suirinsha.co.jp/books/detail11.html2023/11/12

名古屋ケムンパス

809
どこまでも滑らかな筆致に魅了された挙句、残りページが愛おしくなる程の読書でした。常に生と死に向き合うことになるお医者さんたちは哲学者となります。「たとえ病が治らなくても、仮に残された時間が短くても、人は幸せに過ごすことができる。…そのために自分ができることは何かと、私はずっと考えているんだ」と主人公のマチ先生は研修医に語りました。そんな医師に対しては、”おおきに 先生”と今わの際の患者は、労いとお礼のあたたかい言葉を残すのです。2023/11/24

ミカママ

716
医師の世界は2つに分類されるのだそうだ。上等と下等…ではなく、科学者と哲学者。わたしがハワイ島時代にお世話になったドクターは後者だったな、なんてことを考えつつ。この作品の凄さは、鋼鉄の涙腺を持つミカママの瞼にうっすら水が張った、と言えばわかってもらえるだろうか(ただし未決壊)。京都の街の四季折々、そしてスイーツ好きにはたまらない、シリーズの予感。今後ますます楽しみである。2024/07/01

松本ぼんぼん

677
夏川草介の最新作。舞台は松本から京都に変わり、凄腕の雄町先生が主人公。シリーズ化の予感です。 登場する医師たちの名前がなんだか日本酒の名前のように思えたのは私だけでしょうか? 内視鏡手術の様子など、ひきこまれてしまいます。 雄町先生を敵視している西島先生との関係、雄町先生から指導を受けている南先生との関係など、今後興味深いです。 最後に久し振りに「緑寿庵清水」の金平糖が食べたくなりました。2024/01/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21605637
  • ご注意事項

最近チェックした商品