内容説明
ねーねーねー。高校三年生の朝は、意外な声に遮られた。狸寝入りを決め込む僕に話しかけてきた同級生、白波瀬巳緒。そして、隣の席の、綺麗な声が耳に残る少女、御堂楓。留年し、居場所がないと思った学校のはずなのに、気づけば僕の周りに輪ができていく。胸はまだ、痛む。あの笑顔を思い出す。でも、彼女の歌声が響く。ほんのり温かいユーモアと切なさが心を打つ、最旬青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
149
いや、勿体ない。本当に勿体ない。何が勿体ないってタイトルがです。いや、タイトルはこれはこれである意味素晴らしいのですが、このタイトル、この装丁の影響で本作を手にする方が少なくなるのが本当に勿体ないと思います。ベタといえばベタな学園音楽青春モノでしたが、恥ずかしながらしっかりと涙してしまいました。奇しくもツェッペリンの『天国への階段』がフューチャーされ、改めてこのナンバーの偉大さを知ります。タイトルはあのニルヴァーナのカート・コバーンが残した名セリフだそうで、最初から最後までロックンロールな作品でした。2020/09/20
黒瀬 木綿希(ゆうき)
134
インパクトのあるタイトルに負けない良著でした。とある事情で二度目の高校三年生を迎えた朝から晃の人生はそれまでに負けないほど濃密に。プロローグで語られる人物の想い。それは純情で無垢な献身。熱く、まっすぐな友人とは裏腹にどこか冷めている晃。だって全てはあの日に終わったのだから。そんな彼を離れた世界から支える砂羽と有紀。はぐれもの同士で手を取った巳緒、和久井、御堂。ひとりの少年が再生する物語はベッドの上で戦い続けた彼女の生活を想像することで本質を捉えられる温かい物語でした。現代人を皮肉った言葉が多いのも好印象。2020/06/12
chiru
133
騙されました…「尖ったタイトルとギターを抱えた少女」から想像するのとは全く違う、胸が苦しくなるほど純粋な物語✨晃の『彼女』は永遠に手の届かない場所にいる。彼女とラブホテルで迎えた初体験、彼女との別れ、孤立する晃にできた新しい友達、そしてバンド結成へ。色んな想いのすべてを詰め込んで、ロックにのせて届けたい🎸 かつて『彼女』の手を包んだように、誰かの傷だらけの手を自分の手で包む、晃の踏み出す一歩が嬉しい✨光であふれるようにどんな人の心も確実に揺さぶる、オンリーワンな物語です💐 ★５2020/08/31
H!deking
113
読友さんのおすすめ。やっと読めました。ちょっと奇を衒うようなタイトルだけど、中身はいたってシンプルに高校生の恋愛、友情、バンドの物語。テンポの良い会話も楽しく、一気読みでした。そしてラストはしっかり泣かせますね。俺も高校6年行ったしバンドもやってたので色々思い出してキュンキュンしました。苦手な人は苦手かもしれないけど、個人的にはこれまた年ベス入り確実！おすすめ！2020/12/27
芳樹
88
標題と表紙からはギター少女がロックするバンドもの音楽小説かと思いきや、ロックをキーワードにした学園青春ものでした。最愛の恋人を失った少年が、新しい出会いを通じて再起し、未来に向けた一歩を踏み出すまでの、「喪失からの再生」が描かれれる物語です。自分がいなくなった後の少年のことを心配し続けた少女。病床でのその姿を想像すると、涙を流さずにはいられない。割と王道展開ではありますが、感動しました。実に良い作品で、大いにお薦めです。2020/10/04
