内容説明
祖父が残した謎を解き明かすべく、美咲は大学一の有名人、東雲清一郎を訪ねるが、噂に違わぬ変人で……。著名な書道家なのに文字を書かず、端正な顔立ちから放たれるのはシビアな毒舌。挫けそうになるも、どうにか清一郎を説得。鑑定に持ち込むが――「気持ちに嘘はつけても、文字は偽れない。本当にいいんだな?」。鎌倉を舞台に巻き起こる文字と書、人の想いにまつわる4つの事件を描く、連作短編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんき
84
東雲清一郎は、大学生。字が上手く、筆跡鑑定もできます。彼は、顔はいいけど、毒舌。そんな彼が鑑定します。字がいろんなことを教えてくれます。どんな性格か、どんな気持ちで書いたのか。どちらの書類を先に書いたのか。怖いくらいわかります。字は、人のように嘘をつかないからだそうです。二人の人がいて、その二人のどちらをより愛してるか、字でわかるとしたら、知りたいような、知りたくないような。あいまいにしておきたいものも、知らないほうがいい場合もあるなって思いました。 2017/09/08
みかぴょん
58
はまってしまった。筆跡鑑定全く未知の世界。クールな清一郎 すごく好み。口は悪いがやってることは人助け!美咲との展開も今後楽しみ。2016/07/26
ぽぽ♪
57
谷さん、初読みです。偏屈な天才書道家の大学生・東雲精一郎と、お人好しな近藤美咲。祖父の遺したラブレターを筆跡鑑定して欲しいと言う依頼から、二人の筆跡鑑定にまつわるエピソードが4つ展開する…とにかく美咲が自分より他人の幸せを優先するお人好しに対して、人に全く興味のない東雲の関係が少しずつ近づいてるのがニンマリ。どうして書を書かないのか、左手で書く意味は?まだまだ謎多き序章な感じで続きが早く読みたいです。2017/06/30
はな
48
とても気になっていた1冊。大学生の東雲清一郎は口が悪いけれど書はすごいらしいという大学では有名人。そんな東雲に筆跡鑑定を依頼する美咲。美咲の純真さにだんだんと硬化していた心がほだされていく東雲の様子がなかなかいい感じ。書道は苦手だったのでこういった物語を読むと興味を惹かれます。筆跡から読み取れる性格なんかも「へぇ~」と言える感じで興味深かった。美咲がピンチになった時の不器用ながらも助けようとする東雲の姿はきゅんとしました。2017/01/20
honoka
47
表紙買い。「バカ」と「死ね」を面白おかしく連発する度に残念になった。これが無ければかなりイメージUPしたと思う。書からの謎解きは面白く、三の「見る」が1番好き。けれど最後の話、SNSのなりすまし行為で実際に見知らぬ男に暴行されかけたのに美咲がなりすまし犯(女性)を思いやる流れは嘘臭いというか、作家の人間性をも疑った。2017/08/21