新潮文庫nex オニキス―公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子―（新潮文庫nex）

著者名：古野まほろ【著】

新潮社（2020/01発売）

• ISBN：9784101801803

内容説明

超絶的資産家にして日本皇室と英国王室の血筋をひく公爵令嬢、警察庁監察特殊事案対策官・西有栖宮（にしありすのみや）綾子警視正は、今日も自家用オスプレイに弾薬（現金）10トンをぶちこんで出動する。検察の裏組織〈一捜会（イッソウカイ）〉の隠謀によって引き起こされた全国警察の重大不祥事を秘密裏かつ迅速に解決するために。「悪魔の証明」をも可能にする彼女に不可能は無い。未だかつて見たことのない警察ミステリ、開幕。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[よっち]

超絶的資産家にして皇室と英国王室の血筋をひく公爵令嬢で、警察庁監察特殊事案対策官の西有栖宮綾子警視正。警察組織の不祥事を彼女が金と権力にものを言わせて解決してゆく警察ミステリ。この作品もまた箱崎長官を上司に据えた一連の世界観の中にある物語で、捜査権奪取を狙う検察の裏組織「一捜会」の隠謀によって引き起こされる警察署から消えた8572万円、署内不倫署長の全裸死体、県警本部集団薬物汚染といった不祥事を解決すべく投入された綾子主従の捜査はぶっ飛んでいて、既存の価値観をぶち壊す解決方法にはもはや笑うしかないですね。

2020/02/12

[雪紫]

警察の不祥事を仕掛ける悪を叩き潰すのは金と権力！な、「身元不明」と同じ世界観のまほろ版富豪刑事。まほろ作品おなじみのロジックをババーン！と出したところで繰り出される金と権力に物を言わせたまさかな攻略法に「いや、勝ち目ないだろこんなん・・・。」となること請け合いであり、物語が進むたびどうやって叩き潰すのかに関心が向かうのはご愛嬌。ってところ。しかし、メアリと鳥居巡査部長のやり取り「 身元不明」のコンビを連想させますね。

2019/12/29

[坂城 弥生]

最初は独特の世界観に戸惑ったけど、メアリが人を見る目があって、発想力もある、むやみに人を見下さないタイプだったので、痛快な気分で読めた。続きも買おう。

2020/10/07

[信兵衛]

筒井康隆「富豪刑事」と基本的には同じ構成、ただスケール・支出金額が段違い、国際規模にまで、には唖然とするばかり。 また、綾子が使う英国海軍仕様オスプレイ機は、かつての米国刑事ドラマ「バークにまかせろ」で金持ち刑事課長の愛用する運転手付きロールスロイスのオマージュでしょうか。

2020/09/24

[geshi]

まほろ流の「ばばん！」な外連味をお得意の警察フィールドで発揮させているなぁ。有り余る金と権力で警察内の不祥事を捻じ伏せてしまう様はスケールがデタラメすぎて笑っちゃう。解決のためにここまで大掛かりに金かねてやりたい放題やっちゃうのは、呆れを通り越してスカッとする。しかも、その不祥事が警察権力を取り込もうとしている検察の謀略で、事がバレそうになったら「○○様！万歳！」と毒を呷る犯人まで出てくる始末には言葉も無い。『富豪刑事』と比されるかもしれないが、目的のためなら手さえ汚すやり口は全く異なっている。

2020/05/08