内容説明
悪は必ずしも悪ならず。
思いがけない事件の結末が胸を打つ!
消息を絶っていた盗賊「桐山の藤兵衛一味」。
再び動き始めたのはなぜか。
時代に翻弄される人々への、十兵衛の深い眼差しが胸を打つ。
ドラマ化もされたヒットシリーズ『八州廻り桑山十兵衛』。
松戸近辺に住む強欲な百姓一家殺害事件で、
十兵衛は、一時期世間を騒がした盗賊たちが再び動き始めたのではないかと疑い始める。
十兵衛の前に現れては捜査を攪乱する謎の美女、
さらに事件の背景には盗賊たちの人生を変えたある悲劇。
時代に翻弄される女と男に対する十兵衛の深い目線が胸にささる、
人気シリーズ第10弾にして最後の作品!
※この電子書籍は2017年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うさこ@タッタカタ
9
お馴染みの木崎のが出てきたり、中婆に翻弄されたり楽しかった。ラストはなんとも佐藤先生らしい。2023/03/13
qoop
8
著者逝去のため10冊目にしてシリーズ最終作。八州周りを主人公にした面白みを存分に味わえる縦横無尽の場面転換と、二転三転する物語をあっさり収めるギャップ。人物造形の見事さといい、なんと魅力的なことか。特に今回はたきが秀逸。著者の作品はとにかく主人公が翻弄されっぱなしの印象が強いけれど、本作も同様。それにしても、時代小説に限らずこうした読後感は他に知らない。大好きなシリーズだっただけにもう読めないのが寂しい。合掌。2020/01/09
moon-shot
4
桑山十兵衛第十巻。足尾の山奥に隠る高名な儒者河門笑軒を、二十年前の大盗賊ではないかと疑う十兵衛。ところが改めて当時のことを探っていくと、関係者が次々と殺されていく・・。懐かしい木崎の喜三郎のその後や、久しぶりに娘の八重も顔を出して、最後を飾るに相応しい大作。世に捕物帳数あれど、岡本綺堂の「半七捕物帳」、都筑道夫の「なめくじ長屋」、そしてこの「桑山十兵衛」は、吟味されたストーリー、魅力的な主人公、綿密な時代考証、溢れる江戸情緒で他の作品の追随を許さない傑作だと思います。全十巻、栞不要の至福の一気読みでした。2024/01/27
ジュール
4
再読。著者が亡くなられて残念。十兵衛や他のシリーズももう見られない。2020/02/05
酔ちゃん
1
★★★★著者のシリーズはすべて読んできました。 中でも桑山十兵衛シリーズではテレビに出てくる八州廻りのお殿様ぶりとは違って勘定奉行所の下っ端の役人だということを知り驚きました。 著者の作品はすべて時代考証が緻密で江戸歴史の勉強になりました。 もうすべてのシリーズを読めないのが残念です。2020/07/06