内容説明
OL・粟野有希は、公園でお弁当を食べていたところ、見知らぬスマホを拾う。無事落とし主に返したのだが、それを機に身のまわりで不可解な出来事が起こり始める。それは日本を震撼させる大事件の前触れだった。一方、神奈川県警の桐野は、内閣サイバーセキュリティセンターに出向することになる。東京オリンピックを標的にしたサイバー攻撃が“ある人物が協力することがわかったからだ。しかし、何者かから「センター内にスパイがいる」との密告が入り――。有希に近づいた好青年の正体は? センター内に潜むスパイとは誰なのか? そして、浦井が企む、日本全国を人質にとる大犯罪の全容とは? シリーズ最大のスケールで描かれる攻防を見届けろ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
164
前作の反省いや評判をふまえてか、今度はちゃんとスマホ落として、いや拾って始まる物語(笑)個人的には嫌いじゃないけど、何より伝えたいのはこれはもはや“スマホ”なミステリでなくて“浦井”のスパイ小説だってこと!そう割り切って読めれば、ABC表記あって人物視点入れ替わっての構成はスピード感たっぷりに楽しめる。どっかで聞いた様な時事ネタ満載にもニヤリ。あくまで深みを求めず気楽な読み心地を期待で♬相変わらずサイバー犯罪や最新鋭技術の紹介は恐ろしくも興味深い。どうせなら国際指名手配な殺人鬼が愛されキャラだったらなぁ…2020/01/28
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
161
今作も感嘆。スケールが大きいのに設定が細かくリアリティがある。教養が広い上に常に勉強し続けているのだなぁとわかる作品。…瀧島さんに振り回されました。桐野くんは早く幸せになってくれ。 スマホシリーズ以外も含めてほとんど読み尽くしたぐらい志駕晃さんの作品が気に入っています。笑2020/04/15
sayuri
138
「スマホを落としただけなのに」シリーズ第3弾。OLの粟野有希が公園に落ちていたスマホを拾う所から物語は始まる。落とし主は20代後半、好青年風の瀧島慎一。無事にスマホを返したのだが、それを機に有希の周りでは不可解な出来事が起こり始める。序盤は登場人物を身近に感じ面白く読めていたが、東京オリンピック開会式に向けてのサイバーテロ、韓国でのスパイ行為、1作目に登場したサイコパス・浦井の麻美への病的な執着など様々な要素が入り乱れ徐々にスケールアップし脳内が混乱して行った。今後はスマホを落とすのも拾うのも怖くなる。 2020/01/29
金吾
134
スマホを通じて恐ろしい世界につながってしまう可能性に畏怖しました。日本のセキュリティーの脆弱性は現実の情勢を考えると危機感を感じ憂鬱になりますが、誰が味方かわからない状態等は読んでいてドキドキしました。2021/06/24
o.c.beats
126
シリーズ第3弾。スマホを拾って落とし主に渡した日常から、世界を巻き込んだ大事件へと話が展開。最初は1作目ほどショッキングではないかなと思ったけど…。東京オリンピック。物議を醸したIT大臣。総理。かの国の情勢。現代にシンクロする世界にシリーズの登場人物が絡んでいく。章を追うごとに人間関係が複雑に絡み合ってて、自分は1回読んだだけでは把握出来なかった。終盤に謎が解き明かされ、今回の黒幕も意外な人物だったけど。全て話が回収されてない感じもしました。終盤の浦井の桐野に対する友情感情。少し切なくも感じました。2020/07/29