内容説明
プリザベーション補助隊の事件をきっかけに保険会社の業務を離れた“弊機”は、強化人間を装いながら自らの大量殺人事件の真相を求め、企業リムを旅する。なぜかトラブルに巻きこまれどおしの弊機は、出会う人間たちの行動に苛立ちながらも、しだいに芽生えてくるさまざまな感情に戸惑う。そんな中で、人類の宇宙進出以前に存在した異星文明の遺物をひそかに発掘・独占しようとしている悪徳企業グレイクリス社の策動が浮かび上がる。弊機はメンサー博士のため、惑星ミルーのテラフォーム施設に潜入を試みるが、そこにはまたしても未知の危険が!/解説=渡邊利道
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fukumasagami
143
人型警備ユニットの”弊機”はハッキングによる暴走で人間を殺した過去を持ちながら、統制する機構から自らを切り離し、自立して行動できる自由を得ていた。自らの暴走行為の調査の後、向かったのは、自分を買い取ったメンサー博士の敵対企業の陰謀の証拠を掴むこと。警備ユニットであることを隠しながら探索を続けるがー。監視システムへのハッキングを難なくやり遂げ、自分の足跡を消しながら、周囲を欺く姿は、ほとんど最強。恐れられるのも無理はない。そして行動原理は「人を助けるようプログラムさえている」から。しびれる。2021/04/20
ぽんすけ
118
弊機は重度のコミュ障だけど人間が大好きなんだな、とつくづく実感した下巻。あとずっと弊機のことを性別はないと理解しつつも女性体に近いものとして認識していたが、弊機の思考から鑑みて男性体に寄せたものかもしれないと思うに至った。ミキが破壊された時にアビーンの悲痛な様子を見てさらに傷つき悲しむ弊機に心揺さぶられる。常に自分を人間とは隔絶された存在と規定しながらも、弊機が抱く感情はまさに人間そのもの。でも作られた存在であるボットになぜこれだけ細やかな感情が溢れるのか。あとあれだけ臨機応変に物事に対処できるのがすごい2025/06/19
buchipanda3
116
自らのハッキングにより管理下から解放されたボットとなり、さらには良き友人?!の助けで強化人間のような姿になった主人公は、警備コンサルタントと名乗りながら行動する。外面だけでなく内面も人間らしさが見えてきて、特に仲間の人型ボットのミキに対する感情はそのもの。クローン人間の有機組織で部分的に構成されているボットの存在をどう見るのか問われている気もした。マーダーボットは周りから恐れられる存在としか見られていなかった。しかし、メンサーが恐れずに愚行と指摘してくれた時の揺らぎが印象的。そんなボットの活躍はまだ続く。2021/10/08
Kanonlicht
112
一警備ユニットにすぎないはずの主人公のハイスペックぶりにややご都合主義の印象もあったが、なぜ統制システムをハッキングできたかという疑問に対する答えらしきものも示され(それまでずっとモヤモヤしていたので)、物語としてはきれいに着地。文中で明らかにされていないものは、語り手である主人公自身関心がないこと、もしくは意図的に言いたくないことと考えると、読後に新たな考察もできて楽しい。2021/02/09
Panzer Leader
111
人と付き合うのは苦手なのに、自分が守ると決めたらどんな困難が待ち受けていようともボロボロになろうとも、その人を守り切る。「いよっ、漢だねえ」(性別は女性らしいけど)と声を掛けたくなる警備ユニットの弊機。お気に入りさんが指摘した通り正にSF版グレイマン、面白くない訳がない。「まあ、どうしても必要なら、抱き締めてもらってもかまいません」ってセリフも痺れるねえ。あー、満足満足。夏には長編も控えてるらしいが、これはちゃんと出版するよねえ創元社さん。2020/04/16
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