内容説明
腑抜けた武士どもに鉄槌を! 不遇を託つ伊賀者たちは憤怒した…。「義賊となるのだ」―薬料も満足に払えず、若くして逝った配下を看取り、明屋敷番伊賀者・望月十郎太は心を決めた。困窮する伊賀者の生計を助けるため罪を重ねるうち、次第に大胆になりゆく己を止められず、やがて仲間をも手にかけてしまう。臨時廻り同心・鷲津軍兵衛は、長い針状の獲物《伊賀の縫い針》で屠られた亡骸を目にし背景を探るが、黒装束に身を包む忍びが彼を襲った…!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
91
北町奉行所捕物控7作目 2019.07発行。字の大きさは…中。 明屋敷番伊賀者小頭・望月十郎太は、若くして亡くなった配下の家族と組の者を守るため、西念寺の住職・覚全の指示のもと大名家や旗本の手許金を盗む。 組の者の生活が良くなっている事に不信を抱いた伊賀者組頭・柘植石刀は、小頭・桜井頼母に探索を命ずる。 桜井が、覚全に伊賀の縫い針〈鑿(さく)〉で殺害される。その探索を北町奉行所臨時廻り同心・鷲津軍兵衛が担当する。 軍兵衛と伊賀者の死闘がすごい。 今回も、軍兵衛の大活躍だが…。2019/09/10
jima
12
シリーズ7冊目。明屋敷番伊賀者の生活困窮を助けるために罪を重ねる一団。「今の伊賀者は腑抜けだ。何故技量に見合った俸禄を寄越せ、と言わぬのか、何故黙り込み、極貧の暮らしを受け入れて,耐えているのか」「先祖の戦働きで得た高禄の上にあぐらをかき、惰眠をむさぼっている大名や旗本どもから、一椀の粥を得るために、余剰の金を頂戴する。それのどこが悪いのか己に技量があれば、野盗に襲われることもないではないか。・・・」2021/10/03
Kira
5
図書館本。シリーズ第七弾。今作も味わいのあるストーリーで楽しませてもらった。明屋敷番を勤める伊賀忍者の子孫たちの暮らしは困窮している。小頭の望月は義賊となって伊賀者を助けようと決意し、仲間と共に大名や旗本の屋敷に忍び込んで金を盗み、伊賀者への貸し付けに用立てる。しかし、怪しんだ同僚の小頭を口封じのために殺害してから歯車が狂い出す。重厚な語り口の合間にユーモアに満ちた台詞が出てくると、思わずニンマリした。軍兵衛の養女で幼い鷹のたどたどしい言葉を、鷲津家を訪れた柘植が聞くシーンにうまいなぁと感じ入った。 2019/10/05
goodchoice
0
久しぶりに鷲津軍兵衛を読んだか、相変わらずの型破りぶりが楽しい。伊賀者との闘い申込読み応えがあった。2019/08/22
あき
0
微禄の下級武士の悲哀。評価されなくとも矜持を失わず、鍛錬を怠らずにいただけに、道を誤ってしまったのが残念。蕗をいじめてた黒子くんが再登場。なかなか良い子に育ってるようで良かった。2020/08/25