内容説明
割れる藩論に引き裂かれた夫婦の運命は?
「謀反を企んで出奔した、妻の実弟を斬れ」、石見国浜岡藩大目付・平岩左内から密命が下った。意に沿わぬが、逆らえるわけもない。同心頭の香坂又十郎は義弟・兵藤数馬を追うべく、藩を後にした。一路東へ、妻の万寿栄を残したまま――。そして、足を踏み入れた江戸。覚悟を決め、数馬をあの世に送った又十郎だったが、藩の身勝手な事情により、脱藩者扱いにされてしまう。さらに、江戸屋敷の目付・嶋尾久作が、非情な裏の仕事まで押し付けてくる。いったい浜岡藩では、今なにが起こっているのか……。数馬が最期に口にした、「江戸、下屋敷、筧道三郎は――、筧には」という謎めいた言葉を頼りに真相を探ろうとする又十郎。しかし、国元の妻を人質にされたうえに見張りまでつけられ、思うように動けず、なかなか真相にたどり着けない。公儀に抜け荷を疑われ、必死に闇で闘争を続けてきた浜岡藩だが、本当に潔白なのか? まさか、公儀が捏造しようとしているのか? そして、筧道三郎とは敵なのか味方なのか? 見張りの目を盗み、万寿栄へ送った抜け文が事態を大きく変えるが……。再び最愛の妻と抱き合うために、正義の田宮神剣流を振るう! 大河時代小説シリーズ第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
97
脱藩さむらい3作目 2019.11発行。字の大きさは…小。石見国浜岡藩で田宮神剣流の遣いて香坂又十郎が、藩の政争に巻き込まれて剣を振るう物語です。又十郎は、江戸目付・嶋尾久作の命で抜け荷を調べていた公儀隠密を斬り…。国元に居る妻・万寿栄と何とか連絡を取ろうとするが、嶋尾に阻まれる。そんな時、又十郎が出した手紙から万寿栄が江戸に出て来ることを知り、一目会いたいと…。この本は、本当に丁寧に、真面目に書かれています。又十郎の住まいである神田八軒町の源七店での生活が、働く船宿・伊和井が生き生きと描写されています。2020/08/25
優希
52
脱藩扱いになった又十郎。様々な難儀が襲う中、万寿美に送った抜け文が事態を大きく変えたのは悪運に悪運が重なったと言えるでしょう。再び妻と会える日は来るのかわからずも剣を振るう姿は武士らしいと思いました。最後の方になり、明るさが見えてきます。2020/12/02
むつこ
30
シリーズ3作目。やっと明るい日が見えてきて読み続けてよかったと思った。妻の万寿栄が江戸にきたり、義弟の最期の言葉にあった筧道三郎との対面に敵か味方がドキドキする展開。これ、長く続くシリーズになるのかなぁ・・・2020/06/25
蕭白
8
シリーズ3作目。主人公がどんどん、魅力的になります。2021/02/03
Masayoshi Arakawa
0
20201106 110 金子さんシリーズ合格です‼️2020/11/06