内容説明
“最初の生物学者”アリストテレスの天才的な着眼から今日に通じる生物学の精髄を解き明かす。哲人のセンス・オブ・ワンダーが蘇る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
25
イデアだプネウマだと哲学っぽい言葉で議論して賢いぶっている人たちに教えたい。ただの科学用語だよ!誰も気づいていない概念に先駆者が名前をつけただけのもの。現在では別の科学用語や概念で説明できたりする。今は使われていないフロギストン(空気中に含まれる燃える物質、現在の酸素)やエーテル(宇宙に満ちている液体、そこに地球が浮かんでいる)について真面目に議論するようなものです。哲学用語は当時最先端の科学用語。死後の世界と神については、ないものをあると仮定して議論しているだけだと思うので、どうぞご勝手に♪2021/04/19
Gokkey
9
著者は現役の生物学者で分子生物学的手法を中心に胚発生の研究を展開。そんな著者はアリストテレスの自然観を紐解き、現代の生物学が還元的に質料(ヒュレー)としての側面のみに光を当てた一方で忘却した形相(エイドス)の重要性を喚起させる。形相とは現代風に言い換えれば生態学的なニッチとそこへ向かうベクトルと言い換えられるか。そのベクトルの中で形を変え(形相因)、与えられた役割を全う(目的因)しながら次世代にそのニッチを受け継ぐ。月並みな言い方だが、その様を膨大な観察記録のみから導き出すアリストテレスは正に驚異的。2020/01/18
Bevel
6
アリストテレスの議論ってどうしても個別的に整理されることが多くて、生物学という観点から体系的に読んで、現代の水準からみて明らかに間違ってる点など腑分けして、進化論や分類への後世への影響なんか評価してくれてるのはありがたいなという感じ。著者は科学者とのことだけど、形而上学とか類種、魂の話などしっかり絡めていてめちゃめちゃ読んでるなすごいなあと思った。2024/09/09
Mark.jr
3
哲学者として著名なアリストテレスは、実は博物学・生物学者としても有能であったことは、果たして知られているのかいないのか...。本書はそんなアリストテレスの生物学の業績を解説しつつ、古代ギリシア当時の生物学、遺伝学、解剖学、自然観などを掘り下げる、大変読み応えのある本になっています。"THE LAGOON"日本語にすると"潟"を意味する原題通り、取り上げられているのは主に水中生物ですが、羊や蜂やイチジクなども扱われています。2021/12/12
瀬希瑞 世季子
2
栄養システム、体温調節のサイクル、知覚、胚発生のDNA変化を伴わない遺伝子発現の過程とそれに関連した自然発生物のバージョン、遺伝システム、このプロセスそのものがトータルで霊魂なのであり、正確に言えば、霊魂とはこのような物理的プロセス(あるいはその結果)の動的構造である。2025/09/21
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