内容説明
「日本の復興は、鉄道が中心となってやらなければならない」(一九四五年八月一五日、鉄道総局長官の発言)。進駐軍専用列車の運行、続発する事故等の混乱のなか、独立採算制の企業体・日本国有鉄道は誕生した。ビジネス特急「こだま」、東海道新幹線、通勤五方面作戦ほか近代化に努めるが、過大な投資等で赤字が膨らみ、分割民営化により四〇年の歴史を閉じた。その後のJR三〇年も含め、鉄道から見た日本現代史を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
62
本書の扱う時期の多くが自分にとってもリアルタイムであったため、記憶をよみがえらせながら読んだ。新幹線開通、みどりの窓口(九州帰省のための指定券買うために、昔の横浜駅東口に並んだのを思い出した)、周遊券、そして北海道や筑豊の今は廃線となったローカル線など。国鉄分割民営化については、労組問題にあまり踏み込んでいないのはわざとかな。評価が難しい部分だと思う。面白かったのはJR西日本の経営戦略で、私鉄王国京阪の牙城が崩れる様。あとリニア新幹線についての批判は極めて妥当で、もっと声を大にして主張してもらいたいな。2021/04/21
hatayan
35
終戦から国鉄民営化後の70年間の日本の鉄道史。 50年代の朝鮮戦争の物資輸送で息を吹き返し、64年の東海道新幹線開業、68年の白紙ダイヤ改正で高度経済成長を下支え。通勤混雑の緩和とローカル線の建設という相反する要請と人件費の負担に耐えきれず64年以降国鉄は慢性的な赤字に。87年に誕生したJR6社のうち本州3社は堅実に業績を積み重ねるも北海道・四国・九州の3島会社は高速道路網の延伸や人口減を前に苦戦。今後の焦点はリニア中央新幹線。地方が疲弊する現在にあって東京への一極集中を促すのではかと疑念を示しています。2019/08/02
あきあかね
23
太平洋戦争後の占領期·復興期から、高度経済成長期、モータリゼーションを経て現代まで、国鉄からJRへの変遷を中心に、私鉄にも目配りをしつつ、鉄道の歴史をまとめている。 37兆円もの負債を抱え経営破綻した国鉄。輸送構造の変化への対応の遅れや歪んだ労使関係が批判されがちだが、著書は破綻の主な要因として、政治路線の建設費やローカル線の赤字、膨大な年金など、国鉄自身では対応が難しい構造的問題があったと指摘する。また、国鉄は分割民営化によって、JRという優良企業へ生まれ変わったとされるが、他の交通モードとの2021/09/22
ジュンジュン
11
三部作の最後は戦後から現代までを概観。多数の表と数字の比較はしんどいが、国鉄の誕生から新幹線の登場、JRへ分割民営化と歴史を辿れて楽しい。終始淡々とした筆致の中、ローカル線やリニアモーターカーの今後について等は著者の見解が窺えて興味深い。2019/10/07
syu_bo
9
西暦、列車キロ、金額…とにかく数字が並ぶページが続き、読んでて辛かった。私にはまだ早いようなので、もう少し優しい鉄道史を学んでから再読したい。2019/06/30