内容説明
東京湾に浮かんだ最新型の人口島にある中高六年制の全寮制男子校・東京緑翠学院――人々からは、「トキオ・ヘヴン」なんて愛称で呼ばれている――に翔の双子の弟・薫が編入してきた! 片時も離れることのなかった半身との再会を喜ぶ翔だが、満月の夜の「変態(メタモルフォシス)」や健士郎の存在など、薫の知らない秘密を持つことへの戸惑いもあった。薫の方も、翔の秘密を少しずつ知るにつれ、健士郎への憎悪を募らせる。そんなとき、学院祭の演劇で『マクベス』の上演が決定、翔たちにも出演の依頼が……。
感想・レビュー
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カナン
27
懐かしくて再読中。命を授かった瞬間から今この時まで、ずっと一緒にいて、誰よりも大切で、これからも二人でひとつだと信じていた魂の半分が、本当は女の子だったらどうする? 性別を超えた愛ではなく、本当にひとつになれる鏡写しの性だと知ったらどうしたらいい? 健士郎や郁巳が戸惑い判断を見誤ったように、無茶苦茶だと分かっていても、異常だと理解していても、薫の幼い執着ゆえの暴走を自分もきっと多分止めらない。相手次第で性別が変わってしまう、翔の身を襲う悪夢みたいな伝説と奇跡。でもだからこそ、踏み外さないで、幸せになって。2020/05/19