内容説明
イギリスはエディンバラで、十年に一度、ヴァンパイアたちの祝祭である満月祭(ムーン・フェスタ)が開催される。今回は特に、王位継承の儀式も執り行われるという。もっとも王位に近い男・酒井健士郎。彼は、ヴァンパイアの運命を変えるエンジェルとして、翔を連れてきた。それを阻止せんとするリチャードは、翔と入れ替わるように女性体(フィメイル)となった薫を伴う。そして、健士郎を憎む者同士の間で交わされた契約……。宿命の日が迫り、薫は自らの危険に気がつかないまま、健士郎達を相手に罠を演じる――。
感想・レビュー
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カナン
27
天使を千年かけて待ち続けた。命を燃やし尽くしてその夢を後継者に託しながら、孤独な彼が望み続けた愛の姿。大事にできなかった絶望を胸に抱いて、ただ一人待ち続けてきた。同じように天使を求める健士郎が生まれることを、そして天使が再びこの世に生誕することを。未来は王であっても自由には決められらない。けれど約束を果たすために強く誓うことなら翔や薫にも出来る。愛している人を誰一人泣かせないために二人は輝く。本当に体から金と銀の光を溢れさせながら。過酷な未来を天使の一人は少年として、一人は聖母として生きていく。ここから。2020/05/21