内容説明
米軍のオルモック逆上陸に潰滅状態に陥りながら、自活自戦を続ける日本軍。昭和十九年十二月二十六日、マッカーサー大将がレイテ戦終結を宣言するも、司令官山下奉文大将の訓辞「生ノ難キニ耐エカチテ永久抗戦」が届く。
大西巨人との対談「戦争・人間・文学」を巻末に収録
【全四巻】
(目次より)
二十一 ブラウエンの戦い 昭和十九年十二月六日―七日
二十二 オルモック湾の戦い 十一月二十七日―十二月七日
二十三 オルモックの戦い 十二月八日―十五日
二十四 壊滅 十二月十三日―十八日
二十五 第六十八旅団 十二月七日―二十一日
二十六 転進 十二月十二日―二十一日
二十七 敗軍 十二月二十二日―三十一日
対談 戦争・文学・人間(大西巨人 大岡昇平)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
92
無断でセブに脱出した中将や、糧食を奪う兵、体当たりせずに帰還する特攻兵は「不名誉」なのか?命令に従い粛々と討ち死にしていく兵と、こうした遊兵たちとの間に線を引こうとする著者の姿勢への違和感が大きくなってきた。2023/06/20
おたま
47
本当にやっと読み終わったという感じ。この第三巻では、レイテ島中部ブラウエンでの日米軍の戦いと、西部オルモック湾での海戦、オルモックでの戦いが描かれる。そして日本軍の壊滅及び敗軍の様子も。これまでの一巻、二巻同様に、その戦闘の描写は詳細を極めており、どこでどの部隊がどのように戦い敗れどちらに敗走したのかが事細かに描かれていく。大岡昇平の執念のようなものも感じるし、それを読んでいくのには忍耐が必要となる。淡々とした描写ながら、その臨場感によって大変重苦しいものを感じる。だが、これが戦場なのだと思う。2023/11/01
フリウリ
23
なかなかつらい読書である。読めば読むほど、両軍兵士の厳しい状況と、増えていく死者に心が削られていき、かつ資料上に現れるそれらの一つ一つを書き残していく大岡の執念に、圧倒されてしまう。敗北を予感しつつ、命令を守るため、また生存するために歩んだ日本の兵士の一歩一歩をおもえば、遅々として進まない読書という行為にもまた、意味があるような気がします。白骨化した兵士が、密林の道標になっていたという。「犬死に」とは犬のように、路傍で死んで骨となって誰に拾われることもなく風化していくような、死に方のことであろう。92025/06/15
塩崎ツトム
20
ネトウヨに限らず、夜には諸葛孔明のような軍師気取りが大勢いるが、仮に諸葛孔明が現代戦の指揮をとっても、三国志に描かれるような活躍は無理だろうと嫌でもわかる。奇策で局所的勝利を重ねても、それは大海に注ぐ小便みたいなもので、なんの役にも立たず、美しい船は飛行機は鉄くずになり、兵士の肉体と頭脳と心は熱帯の強烈な気候で、あっという間に白骨と化す。遊兵たちはそんなかつての戦友の骸を道しるべにしたというのだからすさまじい。(つづく)2022/11/09
Book Lover Mr.Garakuta
16
【図書館】【速読】【再読】【既読】:徹底抗戦に入る。日本軍敗北濃厚で、マッカーサーの思惑と山下の思惑が錯綜する。2023/04/22