内容説明
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、瑞々しくもビターな全6篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
525
現時点の最新作。とはいえ、もうすぐ発表から十年経つ。ミステリとしては見るべきところは乏しい。しかし、心理描写や台詞回しなど、シンプルに青春小説として良い。特に後半3篇は読み応えがあり、飄々としていながら体積があるというか、米澤作品でよく使われるビターという表現がぴったりの物悲しさが漂う。また今回は、摩耶花の存在感が強く『鏡には映らない』では探偵役となり過去の総括を行い、『わたしたちの伝説の一冊』ではずっと気になっていた漫研での顛末が語られる。表題作での千反田に起こる変化ともあわせ、先が気になって仕方ない。2025/09/21
へくとぱすかる
375
文庫で再読。それぞれの「岐路」を描く短編集は、シリーズの転換点だと思った。タイトル作はキャラクターにさえ影響しそうな作品であり、古典部メンバーが、高校生という激動の年代を生きていることを、まざまざと思い出させてくれる。読み始めから10年が経過したこちらの世界ではあるが、彼らの「未来」がどうなったかを知りたいし、彼らの「現在」、学園ミステリのエピソードを、もっと読みたいと思う。続編を首を長くして待っています!2019/09/14
katsubek
173
久々の古典部シリーズ。Wikipediaでは、「日常の謎」に分類されている本シリーズ。「ふとした謎」が「厳密なロジック」のもとに解明されるというのは言い得て妙である。短篇集であるが、最後の表題作が秀逸。ハウダニットというか、Whyはすぐわかる。折木君よりも情報を多く持っている私たちであるから、よけいにわかりやすい。が、描かれないことが大変多く、行間を読むことを強いられる。というか、「行間だらけ」である。そう、きっとそれが楽しいから、なんのかのと言いながら、このシリーズは全部読んでしまったりしているのだ。2019/07/12
さばかん
163
やっぱり私は伊原さんが好き。いい子だよなぁ伊原さん。 そして今回の短編で奉太郎に対する印象が多少なりとも改善した。 しかしまぁ相変わらず話は面白いですね。 一番はやっぱり伊原さんの話ですけど。 「いまさら翼といわれても」が詩的すぎて台詞としては違和感があるけれど、これが文学かぁ……と感心している。2019/06/26
porisan
144
今回は短編集。1話目の奉太郎と里志のお話と4話目の摩耶花が漫研を辞めるお話が特に面白かった。表題の「いまさら翼といわれても」はえるの苦悩を奉太郎がやさしく見守る姿がなんとも二人の関係を象徴しているかな~ 今回の短編、「連峰は晴れているか」は京アニの作品で映像化されているのを観ましたが、いつの日か残りの作品もぜひ映像化してほしいと思います。がんばれ、京アニ! 2019/07/31
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