内容説明
時は平安。嵯峨野の山中に住む「水守」の少女玉穂は、火事で父を亡くしたショックで、十歳のまま成長が止まってしまった。父の跡を継いで聖なる井戸を守り、呪術の依頼を受ける暮らしをしている。あるとき玉穂は、都の陰陽師、賀茂道平の訪問を受けた。懐妊中の中宮、妍子が何者かに呪詛されているのだが、実は道平は呪術が使えないのだという。玉穂はさっそく宮中に入り込むが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凪子
5
だいぶ前の作品でかれこれ…10年前の本。少女小説と呼ぶには渋く恋愛要素が無く、普通の小説と呼ぶには少々軽やか。夢枕獏の「陰陽師」を少女小説でコーディングして、人物設定にライトノベルっぽい癖を書いた感じ。2019/07/30
Natsumi
4
図書館
PIPI
2
偶然ながら、少年陰陽師と同じ時代と見える。方や晴明の孫、方や保憲の孫から術を頼まれる外法師。へたれなのに、顕示欲が強そうな保憲の孫が今後どのようになり、政界とは無関係に生きているはずの彼女がどのように中央政界に巻き込まれていくか。宮のめのとを鵺にした黒幕は?と興味を惹きます。2010/04/14
りりん
1
外法師、身体が成長しない、といった設定に惹かれ購入したが、思ったよりも少女小説らしい作品だった。「らしい」というのは、朝廷内の権力闘争やそれに巻き込まれる女性たちという構図である。スピード感はないが、平安のゆったりとした流れと立ちこめる闇が窺え、平安物らしい作品に仕上がっていると思われる。努力ではどうにもならない事に直面したときに、何を選択するか。諦めるが最も易く、それを選ばないがために人ならず者になってしまったとすれば、諦めるが正しいのかというと、そうではない。滑稽に抗えど、そこに一抹の美しさがある。2013/10/08
餅日和
1
〔USED〕ヒロインの実際の年齢は、25才でないといけない理由があるのかな。コバルトだし、18歳とかにすればまた違ったかと。この時代の25歳って結構年なのではと勘ぐってしまったり(笑)/道平は、「こいつ……!」と唸るほどのクズでしたが、最後まで読んでみると、かなり共感できるキャラクターになった。次巻で成長を見れるかな?★32013/10/07