内容説明
金、鉄、紙、絹、陶磁器、コラーゲン、ゴム、プラスチック、アルミニウム、シリコン……「材料科学」の視点から、文明に革新を起こしてきた12の新素材の物語を描く。「鉄器時代」から「メタマテリアル時代」へと進化を遂げた人類を待ち受ける未来とは――ベストセラー『炭素文明論』に続く大興奮のポピュラー・サイエンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
70
著者はサイエンスライターの佐藤健太郎氏。材料科学の視点から文明に革新を起こしてきた12の新素材の物語を描いた一冊。それぞれの素材の発見物語や歴史的な価値増大を丁寧に説明しています。歴史好きにも科学ファンにも響く、材料の進化という視点から歴史を見た斬新な見方がとても興味深いです。12の新素材:①金、②陶磁器、③コラーゲン、④鉄、⑤紙、⑥炭酸カルシウム、⑦絹、⑧ゴム、⑨磁石、⑩アルミニウム、⑪プラスチック、⑫シリコン。 「材料とは人間の能力を拡張し、意思を実現するための物質」今後の化学の発展が楽しみです。2021/11/15
TATA
47
なるほど、飽きることなく面白く読めるのは文系、理系の一方に偏ることなくバランスの良い文章で書かれてるからなんだろうな。紙や鉄、プラスチックをその人類史への影響と合わせて説明。あまりにも体系だっているので、子供の頃よく読んだ学研のひみつシリーズのよう。「大人版素材のひみつ」という感じ。2019/11/09
trazom
36
「炭素文明論」に続く、見事な二匹目のドジョウ。化学の専門家としてバックグランドを生かして、著者の考察は、立派な文明論・産業論にまで視点が広がっている。なるほどと気付かされたことがいくつもある。銅・銀・金、炭素・ケイ素・ゲルマニウムが、それぞれ、周期表の縦一列に並んでいるのはなぜか。鉄は、なぜ材料の王者たりえているのか。鉄が大量に賦存する理由は何か。セルロースとアミロースを同時に生成する植物の神秘。二酸化炭素が炭酸カルシウムとして固定化されたことの奇跡。加硫法によるゴムの飛躍…いくつも、目から鱗が落ちる。2019/01/03
六点
28
「金」から始まり「鉄」「紙(セルロース)」「炭酸カルシウム」「ゴム(イソプロプレン)」「磁石」「アルミニウム」その他の素材が、開発されてから如何に世界を変え得たのか、驚かされるものがある。「陶器」も「人類が煮沸した水」を手軽に手に入れることに大きく貢献し、人類がやや水系伝染病から遠ざかる事に繋がったなど、「そうか、そうだったのか」という驚きに満ちた経験をするにはもってこいの本である。ナイロンなどを初めとして、如何に新発明には遊び心が重要であるかという指摘には当を得た思いがした。過去と未来に視野が広まった。2018/11/03
おせきはん
26
12種類の新素材の誕生の経緯と歴史についてまとめられています。アルミニウムが実は酸素と結合しやすく、普段、目にしているアルミニウムは既に錆が表面に皮膜を形成した状態であること、ポリエチレンの出現が航空機へのレーダー搭載を可能にしたことをはじめ、初めて知ったこともたくさんありました。セルロースナノファイバーなどの新素材が生活をどのように変えていくのかも、興味を持って見ていこうと思います。2019/03/30