内容説明
老中として力をふるう意次と、御三家、御三卿との対立が激化する。折しも天災が重なり、意次の政策は次々と挫折した。失政の責めで幕閣を追われた意次は、しかし、政敵の非情な仕打ちにも、端然と身を処すのであった。――収賄の悪評を浴びて失脚したが、江戸時代経済の転換に邁進し革新的な政策を打ち出した文人老中の、豊かな人間性や静かな引き際を描いて、史上の、収賄の人物像を雪冤する、歴史大作。(全3巻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
6
徳川幕府の財政再建に商業資本、民衆の力、開明な分析を統合した意次に陰りが現れる。宗光、家重、家治の紀伊の流れを盤石なものにしようとした三卿の一人一橋治済の田安家抱き込み、御三卿御三家の同盟とも言える力が老中御用部屋を解体してゆく。意次は幕府政策に介入してくるこれら組織に餌食とされてゆく。檜の香りが芳しく漂う相良城もまた破壊されてゆく。 意次通史とした面白い小説だった。 江戸を襲った水害は、私も知る場所だけに、その被害の程が想像できた。 2025/12/29
東森久利斗
2
脱ヒール宣言、汚名返上推進、悪書追放、ネットの書き込み削除、名誉棄損で勝訴間違いなし、歴史誤認、歪曲の最右翼。時代に早すぎた改革家、真の政治家、希代のエコノミスト、開明家、国際派、ダイバーシティ&インクルージョン先駆者。理解されない異才の宿命、悲劇、無益な武家社会のスケープゴート。自己中で保守的な凡人の妬み、恨み、四面楚歌での孤独な戦い。江戸城本丸、徳川治世の政治の舞台裏、江戸の街並み、社会情勢、将軍の仕事、旗本直参の生活、閉鎖的で無意味な慣習、江戸時代中後期の世界を体感。徳川家終焉への足音が聞こえる。2024/06/07
西澤 隆
2
後世悪し様に言われる者ほど追い払った人にとって「都合の悪い」人だったのだろう。田沼父子は世間では「賄賂にまみれた悪徳重役」のイメージ。でも現実社会に暮らしてみれば原理主義的理想論ではひとは動かず労ったりお願したりと人との繋がりがなければ動かないことがあることは実感するもの。問題はそこに絡む「賄賂」がどんどんと大きくなっていくこと。感じ方のなだらかな変化はこの長編の見所の一つだと思う。この物語の中では「なにより世のため」と働いた結果が収賄で失脚と描かれているが「そうであったのかも」と思わせる説得力があります2014/03/04
tooto39
1
田沼意次は早く生まれすぎてしまった。もう少し時代が後なら開明的な彼の政策は評価されたことだろう。2011/01/27
co bo
0
★★★★2026/01/25




