内容説明
寒気に包まれた檻の中で鮫島は意識を取り戻した――。自殺した同僚・宮本の七回忌で、鮫島は彼の故郷へやってきた。故人の旧友・古山をはじめ、古山の妹・栞、麻薬取締官・寺澤、不良警官の上原、バーのママ・平良マリー……、多くの人々と出会った。そして、その夜、拉致された。誰が何を目的に鮫島を狙ったのか!? 底知れぬ闇が広がる! 新宿から遠く離れた見知らぬ街で、孤立無援の闘いに鮫島は身を投じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
186
シリーズ第7巻は、因縁を遺した同期・宮本の七回忌のため九州に訪れた鮫島が、檻に閉じ込められた状態から始まる。新宿から離れ、孤立無援で巻き込まれた事件に対峙する鮫島は、刑事としての力を行使できない状況でも、自分が信じる「真っ当な警察官」を体現しようと奮闘する姿が正にハードボイルドそのもの!晶、桃井、藪らが登場しないのは寂しかったが、善悪双方に魅力的なゲストを用意して、在日二世問題も絡めながらキレ良く描く筆力は流石!レギュラー陣で息抜きする事を本巻では禁じ手にした大沢さんの辞書には「マンネリ」はないのだろう。2020/07/09
k5
75
このシリーズにしては珍しく、オーソドックスなハードボイルドの匂いがすると思ったら、鮫島の一視点で最後まで行くんですね。いつもの派手な感じもいいんですが、この作品の、仕草や表情で見せる感じは味わい深いです。そのうえで、しっかり最後は派手だという。晶、桃井、藪といったシリーズキャラクターも封印して、地味だけどゆっくり味わいたい一冊です。2021/08/07
タツ フカガワ
67
同期のキャリア警察官だった宮本の七回忌に参列するため、鮫島は宮本の郷里へ向かう。そこで宮本の親友だったという古山から歓待を受けた鮫島は、ホテルに戻ったところを何者かに拉致される。新宿から遠く離れた九州と覚しい地方都市を舞台にした暴力団、麻薬取締官、公安刑事、悪徳刑事が絡み合う事件で、鮫島は捜査権も逮捕権もない一般人に等しい立場のなか、警察官としての信念を貫く姿がいい。いつもながら終盤の活劇に興奮し、切ない余韻を醸し出す結末に酔うシリーズ7作目でした。2025/02/25
鍵ちゃん
49
寒気に包まれた檻の中で鮫島は意識を取り戻した。自殺した同僚・宮本の七回忌で、鮫島は彼の故郷へやってきた。故人の旧友・古島をはじめ、古島の妹・栞、麻薬取締官・寺澤、不良警官の上原、バーのママ・平良マリー、多くの人々とであった。そして、その夜、拉致された。誰が何を目的に鮫島を狙ったのか!底知れぬ闇が広がる。新宿から遠く離れた見知らぬ街で、孤立無援の闘いに鮫島は身を投じる。今回はなんだか消化不良な話でしたね。結局証人も周りの人々すべて居なくなるし、恋人の晶は出てこないし。今まで読んだ新宿鮫シリーズの中では残念だ2022/08/06
禅
37
シリーズ7作目は宮本の七回忌法要に参列するため鹿児島に出向く。宮本の幼馴染らと会い事件に巻き来れて行く。宮本が信じた鮫島を助けたいと思う人間とその反対勢力の攻防。最後は何もかもぶっ飛んだエンディング。生き延びた者は、また何処かで会う日が来るのかもしれない。2023/12/18