内容説明
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上田敏に『海潮音』あれば、日夏耿之介に『唐山感情集』あり。博識にして幽玄神秘な詞藻をもって他に類を見ない詩的世界を構築した日夏耿之介は漢詩の風韻、酒と多情多恨の思いを嫋々たる日本語に移し替え、さらに独自の境地に遊ぶ。唐から民国にいたる1200年にわたる名詩を選び出した稀有な訳詩集。
感想・レビュー
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HANA
54
詩人が訳した漢詩集。先に井伏鱒二の『厄除け詩集』を読んでいたため、そちらの自由闊達な役に対して生真面目な印象を受ける。ただ読み進めていくうちにこちらも日本語独自の言い回しが多数見られる事に気が付き、この訳者でしか出せない味が徐々に染み渡って来るな。内容的には女性や歓楽を詠った詩が多数見受けられ、どこか軽やかな印象を受ける。以前読んだ「大鴉」に見られるようなひたすら重厚、言葉で建築された大伽藍といった印象はなく、風に舞う絹を見ているような感じ。やはり翻訳って訳者の個性を楽しめるものだと再確認させられました。2025/01/29
𝐜𝐫𝐨𝐰
6
最後に月夜の涼しい風にあたって深く呼吸したのっていつだろうか。和文と漢文で織られた自然の美しさ、感情の素朴な流れに懐旧の念がわいてくる。「月はおぼろ、/いづこやら/歌ごゑのする/うき/\と。」(「春夜」)訓戒もまた、なまめかしく粋にひびく。「金糸の綾衣は貴い品なれど/惜むにたりない/少年の時間といふものを/惜んで下さい、/花が咲いて折れるやうなら/折つたがいヽ、/花おちてむなしい枝を/折るに及ばず。」(「金縷衣」)歳月人を待たずなんてお説教はご勘弁願いたいが、枯れた花が囁いたようで聞き耳を立ててしまった。2022/06/08
クラシックは不滅だからな。
0
ワイルドやポーのような豊潤な訳とは違う一面があり驚きました。2020/06/20