内容説明
初老の純情侍、御台様と恋に落ちる!
文化九年(1812)六月、九代将軍重の菩提を弔うため、十一代将軍家斉の正室寔子が芝増上寺に向かったのは、夏の暑い盛りだった。老中牧野備前守が先導する百人余の行列が愛宕下に差しかかった時、異変は起きた。三人の刺客が白刃を振りかざして、絢爛豪華な女駕籠に襲いかかったのだ。算を乱した一行に警護の隙が生じた。その刹那、水無月の烈日が照りつける地を蹴って、一人の武士が馳せ参じるや、抜く手も見せず、三人を切り伏せた。幸若舞かと見紛う鮮やかな体捌きに、その場に居合わせた一同の動きがひたと止まった。まさに一瞬の出来事だった。
武士の名は白野弁蔵、表御殿の灯火全般を差配する提灯奉行にして、御目付神保中務から陰扶持を頂戴する直心影流の達人だった。そば近くに呼び寄せた弁蔵を一目見て、寔子の心にさざ波が立った。弁蔵の胸にもほのかな灯がともる。徳川家八百万石の御台所と八十俵取り、御目見得以下の初老の武士の秘めたる恋の芽生えだった。そして、それは、戦国の世に端を発する闇の一族から想い人を守らんとする弁蔵の死闘の始まりでもあった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
104
提灯奉行。11代将軍家斉の正室寔子と提灯奉行白野弁蔵との淡い恋心と、冷酷無比な非情集団闇の一族影母衣衆と1人立ち向かう白野弁蔵さん凄いですね、続巻を期待しますが少し難しいかな。2018/05/11
のんぶぅ
3
菩提を弔いに寺に向かう途上刺客に襲われ、その刹那抜く手も見せず刺客を切り伏せた一人の初老の武士。ふと10年前に、篤姫の想い・天璋院篤姫・今和泉篤姫・渚の篤姫御殿、焼酎の銘柄が湧きあがりました。上の御錠口の掛行灯に灯火する武士を杉戸の隙間より垣間見る御台様、身分の差ゆえに手向かいも出来ずに足蹴にされ、鉄拳制裁を喰らっているところを助けられ、咽び泣き偲哭く純真な武士を思うと引きずり込まれました。読了の清涼感も焼酎に負けず劣らず、初老の武士が御台様と恋に落ちたとは言い難く、次作に期待します2018/01/06
千日紅
1
★★★★★十一代将軍家斉の正室寔子の行列が愛宕下に差し掛かった時異変は起きた。真夏の炎天下、白刃を振りかざして襲いかかる三人の刺客。狼狽する警護陣。その刹那、一人の武士が馳せ参じるや、抜く手も見せず三人を斬り伏せた。武士の名は白野弁蔵、表御殿の提灯奉行にして、御目付神保中務から陰扶持を頂戴する直心影流の達人だった。この日から、徳川家八百万石の御台所と八十俵取り、お目見得以外の初老の武士の秘めたる恋が始まる。それはまた織田信長を"安土様"と崇める闇の一族から想い人を守らんとする弁蔵の死闘の幕開けでもあった。2018/09/11
goodchoice
1
題名からやや軽めの時代小説家と思ったら、非常に重厚かつ秘めた恋が綴られる期待以上の内容だった。この分だと続巻が期待できる。是非、もう一丁お願いします、和久田さん!2018/04/05
デンティスト
1
初めての作家さんです。少し時代劇を中心に読んで見ようと購読しました。 八十俵とりの旗本白野弁蔵50歳。独身。11代将軍の正室とく子を刺客が襲う所に出くわすことになる。さて二人の関係はどうなるのか。都合の良い話の展開だけど楽しく読みました。続編が待ち遠しい。2018/01/16
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