内容説明
日露戦争から、戦後の日中国交正常化まで。約70年の中国近現代史は、きわめて入りくんでおり、もはや一国史では語りきれない。袁世凱、孫文、蒋介石、毛沢東から、習近平へ。「憲政史」を補助線に、俗に「日中対立」と言われやすい時代を、事実に即して描き直す意欲作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
18
君主国から共和国へと転換した中国の近現代史を、憲法と憲政の視点を加味しながら、対立と共存の日中関係の歴史とあわせて描いた作品。中国は清末から中華民国、そして中華人民共和国へと至る歴史において、憲政の希求と、憲法学の発展の歩みがあるという、これまであまり大きくクローズアップされなかった憲政の歴史を詳らかに解説している。憲政に逆行するような現代の中国共産党にとっては、あまり触れてほしくないテーマであろう。戦後の中国分断から、中華ナショナリズムの一体化を図るためにも憲政が模索された面も興味深い。2017/08/16
かんがく
12
タイトルの日中関係史よりも、副題の共和国としての中国の方がテーマに近い気がした。日清日露戦争以降の、中国における憲政を目指す動きが中心に据えられているのは新奇で面白い。辛亥革命〜国共内戦のゴチャゴチャした中国情勢が整理されており理解の助けとなった。2020/07/23
さとうしん
10
「憲政への夢」を軸に描く中国近現代史。民国期に美濃部達吉の学説が高く評価されるなど、この方面で意外に日本の影響が強かったことや、「思想統制」が取り沙汰されがちな人民共和国の時期も含めて、憲政に関して様々な方向性が模索されていたことをまとめる。終盤に中国と台湾に挟まれた第三極としての香港の役割について触れられていたが、そのような役割は中国の改革開放と台湾の民主化によって希薄化しつつあるのではないかと思った。続編として現代台湾での憲政の展開、あるいは日本も含めた東アジア全体の憲政史が望まれる。2017/09/30
まえぞう
6
東アジアの近現代史第2弾は、清朝末期から文革終了直後までの中国史を、憲政史という側面からとりあげたものです。このくらいの時期に差し掛かると、自分の人生とも交差する話しも出てくるので大変興味深く読みました。次の第3弾からは朝鮮半島の歴史に入っていきます。2017/07/31
Blair
3
近年、ナショナリズムの高揚や相互理解の欠如という問題が浮上しつつあり、日中関係も例外ではない。長らく中国では、本書で使われているような「憲政」という言葉に慎重的で、主流の政治的言語でないことは、中国の憲政概念を研究して分かった。もっとも、清末・民国期では当時の憲政志向の高まりにより、一般的に使われていたわけだが、人民共和国成立以後、憲政概念に関する論争が巻き起こってきた。それは、中国における民主主義を考えることにも繋がるが、その複雑さに直面する前に本書を読んで今一度歴史を再確認することが最善だと思う。2022/09/14
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