内容説明
異色のエンターテインメント家族小説!
比良山家は、文也が大学二年生のときから三年間引きこもり、妹の結美が、中学でイジメにあってからグレてしまった19歳。母親の智恵子は、文也が引きこもってしまってからアルコール依存症になり、会社員である父親の浩三は、影の薄い存在だったが最近家に帰っていない、という「崩壊家族」だった。
そこに、父親が借りた借金の返済を求め、ヤクザの岩田がやってくる。岩田は家に居座ると宣言し、やりたい放題を行う。父親探しを命じられ、文也は否応なしに外に出る。妹や母親も、岩田の強引な指図に従ううちに、だんだんとフツーになっていき、いつしか岩田を中心に団欒らしきものが生まれていた。
そして、浩三はこれまで大きな悩みを抱えて生きてきたことが明らかになる。父親の居場所を聞いた文也と結美は、彼の元を訪ねていくのだった。意表を突く展開、ブラックなユーモア、異色の家族小説。
第9回小学館文庫小説賞優秀賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユザキ部長
34
これは面白い!いっきに読み終わりましま。人間ですもの。迷い、思い、辛さ。色々あります。時に回り道もする事もあるけどね。2013/04/11
あー
15
軽く読むつもりで、読んでいたら思いの外、重たいテーマが潜んでいた。家族が少しだけ前進したのが良かった。が、生活費をどうしていたのかが気になって仕方ない2024/03/25
かんたあびれ
5
結構重いテーマなのだが軽く読める。軽すぎる感もある。2021/06/08
lululun
4
ちょっとだめなおっさんの話かと思いきや序盤からゴリゴリの正統派(?)ヤクザが出てきて暴力的なシーンも。そんなにボコボコにされてるのによくまだ生きてるなというほどの描写。結構救いようのない感じの家族だったのに、岩田に引っかき回されて文也が父を探しに行くことで徐々に家の中にも平穏が戻ってきているのが上手くいきすぎな気もするけど、父が家を出て勝手に好きなようにやっていたことで「停滞していた家族も動き始めた」、そんな終わり方はよかった。2024/10/25
マキオカ
3
読みやすく、面白かった。「崩壊した家庭がちょっとした事件で変わっていく」という筋でも、ラストが「和気あいあいとした理想の家庭になりましためでたしめでたし」じゃないところが好きです。2011/01/27