内容説明
迫り来る蒙古。かつてない戦がはじまる。磐石の執権政治を確立し、幕府の結束を固めた北条時頼。だが、巨大騎馬国家・蒙古の王クビライが、海を越えこの国を狙う。かつてない戦さがはじまろうとしていた。天変地異続く巷では、法華経を説く日蓮が民の熱狂を呼ぶ。父の志を受け、真に国をまとめる者となれ。少年・時宗は若き棟梁として歩みだした。(講談社文庫)
感想・レビュー
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はらぺこ
65
この時期の事って元寇しか知らんから目新しい事が多くて嬉しいけど元寇まで長い。あと2冊もある。次ぐらいで時宗が主役かな。前巻は経時と檜皮が若くして亡くなり、今回は時頼が経時と同じ様な状態に。これが誰かの陰謀じゃなければこの得宗家は呪われてるとしか思えないぐらい早世の家系。時頼は将軍の扱いに苦労してたけど、最初からしっかりした将軍を据えればええだけの話で執権政治にしがみ付いてるようにも思える。 巻末エッセイは、さいとう・たかを。前巻は大河ドラマで時宗を演じた和泉元彌。2013/04/18
future4227
45
北条時頼の生き様が格好いい。北条家得宗としての帝王学、私利私欲のない奉仕精神、日本国の行く末を憂慮する先見性とスケールの大きさ。執権職を退いて、出家してからも益々政治的手腕に磨きがかかる。全国行脚の旅の場面で、学校で習った『鉢木』らしき話が出てくるが、佐野源左衛門という名前も鉢木も出てこなかったのが残念。この頃、日蓮も登場し、外敵の襲来を警告。蒙古ではクビライがハーンとなり、いよいよ宋の攻略が始まる。日本に危機が迫る中、37歳という若さでの時頼の逝去が無念。でも、死に際もお見事! 2018/05/02
キャプテン
36
★★★★☆_「世界はきっと、ぼくのものフェア」第六弾、元寇編②。得宗家、それは武家のトップ中のトップ。得宗の時頼は、幼き時宗との日本行脚の旅に向かう。来たるべき世界最大の侵略者に備えて。時頼の旅は、絆を生む。そして登場する革命的坊主の日蓮。侵略者の足音が聞こえるなか、混沌は加速していく。時頼の命が削られていくのはよく分かるし、読む前に思っていた得宗家の姿が変わっていく。苦労人なのだ、彼らは。そして時頼から時宗への、時の一族の継承、世代交代は胸熱。侵略者の足音が大きくなるのが読んでるこちらにも分かる臨場感。2019/10/25
おひゃべりのナオ@【花飛】ヤオイは三月の異名にあらず
30
時頼が「一介の僧」とか「人のため」とか言い出すと、その度にウソッ! 北条ほど氏族のために動いた連中もすくないだろうに。2016/01/18
藤枝梅安
28
時頼は北条の内紛を果敢な方策で納めることに成功する。蒙古が宋を攻めていると言う情報がもたらされ、やがて日本に、と時頼は危惧を深める。「国を守る」とは?この問いを常に自分に対し、周囲に対し投げかけ続ける。地震を初め天変地異が続き人々の不安が増大する中、日蓮の説く法華経が人々の支持を集め始める。その日蓮が鎌倉に現れたとの情報を受け、時頼は日蓮を穏便に鎌倉から去らせる策を練る。そんな時頼も病に倒れ、時宗を後継に指名し、時宗の兄・時輔を説得し、時宗を陰で支える役目を授ける。2010/10/30