内容説明
熊野道最大の難所である妙法山で、なぞの存在と再会した義清。待賢門院璋子への許されぬ恋慕の気持ちに苦悩しながら、自分の中に潜む闇を悟る。そして、鳥羽上皇の御前で一首の歌を詠んだことをきっかけに、ついにある決意をする…
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
16
待賢門院璋子の死をもって終わる二巻。これで佐藤義清の恋が終わるのか。それとも西住の言うように「人は人の心を永久に知ることはない」のだろうか。まだまだ迷いに迷っている西行が切ない。2016/01/04
mahiro
15
義清の青春、禁断の恋に悶え悩み心体の中にマグマの様にのたうっていたパトスを屏風に奔流の如く叩きつけ書いた歌十首の後西行が誕生する。野心を持ち現実的思考の清盛はそんな彼を友情を持って見守る、次巻は政治的情勢が動くか?2015/10/16
はかり
13
シリーズ2巻目。禁断の恋に身を焦がす義清がついに出家し西行となる。その相手の璋子も病死してしまう。儚い別れが哀しい。恋に狂った盛遠つまり文覚も哀しい漢だった。空海が残したと言う「いろは歌」の意味は驚愕。2016/07/04
カノコ
12
素晴らしかった。障子絵の場面は、鳥肌が立った。圧巻だ。歌の意味なんて解らなくてもいいのだ。ただ、魂が叫ぶことばが、悲痛な恋の衝動が、わたしの心を強かに殴った。恋は人をもののけにする。確かにそうかも知れない。しかし、それはきっと優しいもののけだ。愛しいひとには噛み付けず、持て余した牙が己の心を食い尽くすような。正直、これで完結でいいんじゃないの?と思ってしまったが、あと2巻あるので黙って読み進めることとする。2015/06/06
ゆうこ
11
西行という、一人の僧侶が誕生した。気持ちのやり場がなく、迷いに迷った挙句の結果なのか。子供の時の鞠の行方。鞠に取り憑かれた人たち。そんなことがあるのかどうかではなく、あるに違いないと思わせる展開。いよいよ政治も動きそうです。三巻へ。2015/07/27