内容説明
芦屋の高級マンションをシェアして暮らす、富久丸百貨店外商部の鮫島静緒と桝家修平。バツイチ独女で仕事に燃える静緒とゲイでセレブな修平の同居は案外うまくいっている。暴力団幹部の愛人をする元教師、所有不動産の空き部屋に悩む元剛腕石油マン、孫の不登校にやきもきする歯科医院夫人、セレブ専門の結婚相談所を経営するやり手の女社長……。お客様に育ててもらいながら、今日も究極のサービスを売る、外商員たちの奮闘記!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yunemo
241
百貨店業界の究極の課題解決ここにあり、そんな感じが残って読了です。確かに、新聞紙上でも売上大幅減少、閉店相次ぐ等々、苦境に立つ百貨店の今が目に付きます。外商という部門で、お客様の欲しい「モノ」を普段から揃え過ぎた。旧態依然のままでここまで生き永らえてきた業界。新しい社会の中で新しい個人のありようを見つけ出すこと、これが難しいから次の一手が打てずに今まで。個々人の価値基準の多様化、でも究極的には「孤独」から逃れる術に頼りたい、との想い。仕事があるから今はいいね、でもその先は、この恐怖感。身につまされながら。2016/11/13
風眠
239
これは一生もの!っていうダイヤモンドや腕時計のような、死ぬまで使い続けたい「人生の一品」を買うとしたら、やはり私はデパートで買いたいと思う。静緒や桝家のような外商を呼べるような上流階級の人間ではないけれど、デパートってキラキラしていて、いい匂いがして、私は大好きだ。「恩」を売られても、私にはそれ以上のお返しができるほどの経済力は無いし、買える物の値段も桁が違う。けれど、静緒が懸命に駆けずり回って働く「宝石箱」という名の現場を想像すると、私もまた頑張って働こうと思えるのだ。いつか「人生の一品」を買うために。2017/02/04
たっくん
222
上流階級富久丸百貨店外商部の続編。芦屋川店外商部の鮫島静緒の奮闘・・大物ヤクザ組長の愛人の別れ話に関わったり、海外旅行に行ったりと、上流階級の、おそらくモデルは芦屋のセレブ達に高級品を販売するだけでなく生活全般をサポート。庶民には別世界のお話。ところでルームシェアーしている桝屋修平とはどうなることやら、もっとも彼は・・・。2017/03/07
紫綺
175
富久丸百貨店外商部シリーズ第2弾。自分には丸っきり縁のない上流階級の暮らし、悲喜こもごも。それでも同じ人間。悩み事もある、心配事もある。そんないくつかの枝葉エピソードを入れながら面白く、楽し気に展開。満足の一冊。2017/03/24
R
132
百貨店の外商という仕事をどう過ごすか、その仕事の厳しさを描いて、そこに生きる人の人生も浮き上がらせた一冊でした。相変わらず、人とは何か、上流階級だからこそ理解すべき人情のようなものも見えつつ、働くこと、生きることへ真面目に取り組む姿が観てとれて、とても楽しく読み終えた一冊でした。2018/10/24