内容説明
燦・伊月・圭寿――三人の運命やいかに?
本気で政を変えようとする圭寿を不意に闇神波が襲う。そのとき燦、そして伊月は――。
少年達が闘う大好評シリーズ、ついに最終巻。
おれが必ず燦に逢わせてやる――遊女に堕ちた身を恥じながらも燦への想いを募らせる篠音に、伊月は誓う。
遊里からの帰り道、星月夜に轟く鳥の声に不吉な胸騒ぎがし、城へと急ぐ。
正に刺客が藩主・圭寿に放たれていた。
その頃、静門院とお吉は田鶴に向かって道を急いでいたが……。
文庫オリジナルシリーズ、ついに感動の最終巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
206
面白かった!只ただ面白かった!親子の愛、男女の愛、友との愛、民や国への愛・・あさのさんの描く清々しいまでの愛と信頼を満喫しました。愚かな主をもつと下の者は堪らないのは、いつの世も同じなのだなぁ。しかし、生れた子に何の咎があるのか。父・伊佐衛門の罪は如何ともし難く・・於ようの最期は伊月を思うと苦しいほどだった。それでも燦と二人で藩主・圭寿を支えて生きる姿を想像出来てしまうのが、何とも切ない私の好みだった。全8巻確かにきらめいて堪能しました。2018/03/16
優希
87
遂に完結ですね。燦への想いを巡らす伊月と篠音。3人の再会が叶ったときは何だかしんみりしてしまいます。政を優先し、燦を犠牲にしたと見えた父親の謀は、それ以上に深いものがあったことにただ呆然としました。それのみならず伊月の意外な正体には驚きです。薄々圭寿のような気はしていましたが、まさか本当だったとは、という感じ。しかも伊月の生き方が報われないというのが辛い。色々なことが解決していくのはどんでん返しという感じで面白かったですが、胸が痛くなるところも多々ありました。でも闇がある世界観が魅力ですね。2016/10/03
えみ
61
尊い。若者たちが国を思い民を思い未来を切り開く。自らの痛みを背負いながら、各々の覚悟で成長していく姿は男女ともに凛々しく清い。何よりも難しい、人を許すということができる人間であった彼らはもう何者にも脅かされない強さを得ていると確信した最終巻だった。ここにきて様々な暴虐的事実が暴露される怒涛の展開。哀れな若者しか存在しないのか、と心配になるくらい彼らは皆悲しいくらいに深い傷を負っている。しかしそれ以上に素晴らしいものを手に入れたのだと思う。目に見えるものが全てではないということを教えられたシリーズ、完結。2023/05/08
ゆきち
58
終わってしまった。最終巻も200ページ足らずと本の厚さは薄いのに、内容が濃すぎて、燃え尽きた感がすごいです。これが最上の終わり方なんだろうけど、この燃え尽きた感をどうにかしてくれぇー!でも、本当に面白かった!しばらく頭から離れないだろうと思います。2018/04/23
ケロリーヌ@ベルばら同盟
54
田鶴を変える。古い慣習を廃し、老臣の専横を除き、欲深い商人との癒着を断つ。田鶴を覆う不吉な影を祓い、民に、この国に生まれた誇りと喜びを取り戻させる!大いなる覚悟を持って、藩政の改革に挑む若き藩主と、主を類まれなる名君と信じ、熱く深く重く献身する伊月。そして、伊月のふたごの弟、燦。圭寿が揮う改革の大鉈が新しい世を招来し、懐かしい人々との再会に心弾む中、伊月に古い因縁の糸が絡む。若者たちの真っ直ぐな情熱が輝く物語の最終巻を深い感慨をもって読了。2021/07/22