新潮文庫<br> わくらば 短篇集モザイクIII

個数:1
紙書籍版価格
¥481
  • 電子書籍
  • Reader

新潮文庫
わくらば 短篇集モザイクIII

  • 著者名:三浦哲郎【著】
  • 価格 ¥594(本体¥540)
  • 新潮社(2016/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101135175

ファイル: /

内容説明

ふと手にしたわくら葉の繊細な模様に呼び覚まされた、遠い日の父の肌の記憶を描く表題作ほか、温泉旅館で七十過ぎの老人と“添い寝”することで暮らしを立てている女の意外な過去が語られる「そいね」、身体にいい“牛乳”を嫁に内緒で向かいの家で取ってもらっているいせ婆さんの話「おぼしめし」など、わずか十数ページに人生の様々な味わいを封じ込めた17編。連作短篇〈モザイク〉第3集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shizuka

50
母親との思い出を綴った随筆だけでなく、短編小説がたっぷり書かれていて大満足。『おぼしめし』夫に先立たれた老婆二人。一方は家族と、もう一方は一人暮らし。ある時家族持ちの方から「私の分も牛乳を1本注文して」と頼まれる。家では嫁が文句を言って買ってくれないから。牛乳を飲みに訪れつつ、嫁がいかに冷酷かを語って帰る老婆。家族との洗濯を拒まれ、川で洗うように指示された老婆。その末期と理由。こんな非道なことがあるのかと心がぎゅーっとなるが、情景が美しいのでまるで聖人の話を読んでいるかのような気持ちに。それが三浦さん。2017/04/23

メタボン

35
☆☆☆★ 「わくらば」のように透いた老父の背中。温泉場で老人と添い寝する仕事「そいね」帽子にこもる執念「チロリアンハット」青い眼の人形「めちろ」亡夫の六尺のふんどし「おぼしめし」やたらと人にぶつかる「おのぼり」犬の幻影「パピヨン」同姓の二つの家の通夜を巡る困惑「つやめぐり」意図して夢遊病者になる「ゆめあそび」食中毒の妻へ二人の娘が対処するに引き換え夫の私は「みそっかす」娘を嫁に送る道中で人が変わる夫と突然涙が止まらなくなる妻「やどろく」涙で形作られる灰におふくろの悲しみ・悔しさを見る「なみだつぼ」。2021/05/04

Shoko

25
モザイクと名付けられた短編集「みちづれ」、「ふなうた」につづく3作目「わくらば」。ふと手にしたわくら葉の繊細な模様、どこかで見たと記憶を探ると在りし日の父親の背中に思い当たる「わくらば」。温泉場の旅館で老人と添い寝をして暮らしを立てる35歳の巴。と、添い寝をしていた老人が死んでしまう「そいね」。夜半、妻が腹痛を訴え、オロオロするばかりの夫と、テキパキと病院の段取りをつける娘たち「みそっかす」などなど。あ、私はこの人たちを知っていると思った。『わずか10ページに人生の様々な味わいを封じ込めた』作品集でした。2020/09/29

tomo

8
文体が美しくて惚れ惚れする。たった数ページの作品を集めた短編集なのに、どれも分厚く、濃い世界観を感じた。特に表題「わくらば」の冒頭が詩情に溢れている。声に出して読みたい。「やどろく」でほろり。2021/02/17

hirayama46

5
はじめての三浦哲郎。これはいいものだ……。どの短編も分量は少ないですが、情景の切り取り方がとても滋味のある鮮やかさで、たいした事が起こっていなくても深い印象を残します。このシリーズは他の2冊もぜひ読みたいところ。2016/05/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/506620
  • ご注意事項
 

同じシリーズの商品一覧

該当件数3件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす