内容説明
【第9回柴田錬三郎賞受賞作】莫大な借金を背負って新しい「花ずみ」を始めた通子。夫を奪いにきた女・多衣と商売の面ではパートナーとなり、複雑な心境のまま世間の荒波に飛びこんでゆく。従業員の裏切り、痴話喧嘩の果ての殺人未遂と、数々の災難におそわれながら、通子は自らの奥に秘めていた花を咲かせてゆくが、突然の政治スキャンダルに飲みこまれ……。女の表も裏も書き尽くした傑作、怒涛のクライマックス。
目次
うすぎぬの海
一花繚乱
春の嵐
鬼の情
湖の余白
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
71
下巻も目まぐるしかった。次々と降りかかる困難、二転三転する勝負の行方、ボロボロ出てくる隠し事や嘘、もつれまくる人間関係、一難去ってまた一難の連続で息つく暇もない。負けず嫌いの見栄と意地の張り合いがもどかしいやらめんどうやら、さすが連城さん簡単には終わらせない。く、くどい、しつこい。それでも美しい文章で胸焼けしないところがすごい。装丁も綺麗でお気に入り。2017/05/10
スミレ
33
ただ「愛憎劇」と一言では片付けられないほどの読み応えのあるストーリーでした。 一人の主婦として家事育児に追われてきた主人公が、義母の死から一転、多くの波乱に巻き込まれる。巻き込まれながら、巻き起こす…。 たくさんの岐路に立ち、迷い、決断し、そんな女性のたった数年間が、とても綺麗な文章で描かれていました。 この作家さんの作品をいろいろ読んでみたいです。2017/01/19
なるみ(旧Narumi)
27
ドラマ、上巻に続き、下巻も読了。主人公通子さんの素人っぽさを武器にした女将さんぶりと、次から次へとやってくる困難だったり、⁇な局面に対し、時に苦しみながらも負けずに対処しようとする様がじっくり描かれていました。2016/12/16
との@恥をかいて気分すっきり。
20
いやーもう目が回るようなどんでん返しの連続。こんな「裏の裏の裏の裏」みたいな人間模様が目の前で繰り広げられたら、人間不信に陥ってしまうだろうな。裏がある事なんかちっとも考えず、言われた事をそのまま間に受ける単純な性格なので、怖い女と思うか、めんどくさい女と思うかどちらかだと思います。しかし、このとっちらかった展開を奇跡と運命を絡めて最後は綺麗にパタンと閉じる。マジックのような見事な終わり方でした。面白かったです。2016/10/13
KAZOO
15
読んでみて感じたのは、やはりある意味で連城ワールドを小説に仕立てたということなのでしょう。本当に小説の世界でしかないような感じですね。まあ他の昭和初期のにおいのする短編小説なども、架空あるいは虚構の世界というものをえがいているので私はなれているのですが、いきなりこの本を読むと拒否反応を起こす人は多いかもしれません。2014/03/18