進化的人間考

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進化的人間考

  • ISBN:9784130639552

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内容説明

進化に興味を持った人に、最初に読んでほしい本

ヒトに固有な特徴や性差について進化という軸を通して検討し、なぜ言語や文化を持つのか、ヒトの進化環境がどんなものだったかなどについて、領域横断的に考察する。第一人者が明晰かつ親しみやすい語り口で、進化という視点から人間の本性に迫る。


【第1章より】
人間がなぜこのような生き物なのかを科学的に探るには、人間の進化の理解が必須である。進化を理解するには、進化のプロセスに関する一般的な理論を知らねばならない。その進化の理論を最初に科学的な形で提出したのはチャールズ・ダーウィンだった。…

ダーウィンは、遺伝について何も知らずに進化の理論を考えたのだが、その後の遺伝学の発展に伴い、進化理論はどんどん進んでいった。現在の理解をもとに、人類の進化を考えると何が見えてくるか、本書では、進化という軸を通して、人間の理解を統合してみようと思う。進化学の越境であり、新たな人間学の試みの萌芽でもある。


【目次】
第1章 人間への興味――越境する進化学
第2章 ヒトとチンパンジーはどこが違う?
第3章 ヒトの生活史――赤ん坊、子ども、年寄り
第4章 ヒトの子育て――ヒトは共同繁殖
第5章 進化生物学から見た少子化――ヒトだけがなぜ特殊なのか
第6章 ヒトの食物と人間性の進化
第7章 ヒトにはどんな性差があるのか
第8章 ヒトのからだの性差と配偶システム
第9章 ヒトの脳と行動の性差1――食物獲得との関連
第10章 ヒトの脳と行動の性差2――文化との関連
第11章 三項表象の理解と共同幻想
第12章 群淘汰の誤りとヒトにおける群淘汰
第13章 ヒトはなぜ罪を犯すのか――進化生物学から見た競争下での行動戦略
第14章 ヒトの適応進化環境と現代人の健康
第15章 ヒトの適応進化環境と社会のあり方
第16章 言語と文化
第17章 人間の統合的理解の行方
第18章 進化心理学・人間行動生態学の誕生と展望

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

117
著者は総合研究大学学長。専門は行動生態学。東大卒のバリバリの理系女性。本書は人文社会系学問による人間に関する考察と近年の自然科学による人間の知識を、進化という軸を通して統合しようとする試み。まずヒトとチンパンジーとの違いを10点あげ、ヒトに固有の特性を指摘し、子育て、少子化、食性、性差、脳と行動の性差、健康、言語、文化につき最新の論説を引き分析する。その中でヒトという動物は共同作業がいかに大事か、また三項表象の理解を含む共感という脳神経基盤を重視している。進化心理学は未だ発展途上の学問だが、楽しみな分野。2023/04/02

はとむぎ

17
ヒトは、基本的に雑食で適度な運動と娯楽が必要で共同作業によって生計を立て、公正感を大事にして他者とコミュニケーションをとって愛情を感じながら生きていたい生き物!そして育児は様々な協力を得てやるもの。 このヒトの本質にむかない生き方は、なんとなく居心地が悪いんだろう。 面白い本でした。2023/06/17

エジー@中小企業診断士

9
進化軸を通して人間の理解を統合する試み。進化心理学。著者は「普遍的な人間の本性」の探究において自然科学の概念的一貫性をもって新たな仮説創出を展望する。三項表象の理解と共同幻想が文明を可能にしたと考察。ハラリのサピエンス全史の「認知革命」では 虚構として論じられた観点である。ヒトの生物としての潜在寿命は昔から長い。繁殖戦略のK型(少産少死)とr型(多産多死)。三次元空間認知と物体配置記憶には性差がある。進化ゲーム理論により個体同士の競争戦略が説明されるが問題は利他行動である。ヒトは非常に協力的な種である。2024/11/04

spock

7
生まれ持った性差はあるのだから仕方ない。アカデミックな場所でそれを唱えることが男女差別になると言論を封殺されてしまうことが悲しいです!内容は竹内久美子さんのエッセイを少し硬くした感じで楽しい。2024/08/01

やす

7
人間とは何かについて、科学者がじっくり考えた本。科学的ではないからこそ、温かくて腑に落ちるところがあると思う。 2024/01/20

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