内容説明
1866年、大西洋に謎の巨大生物が出現した。クジラよりもはるかに大きく、驚異的なスピードで移動する異形の怪物の存在は、世界中の人々を震撼させていた。その正体をつきとめるべく、パリ自然史博物館のアロナックス教授は、召使いのコンセイユとともにアメリカ海軍が誇る高速フリゲート艦に乗り込んだ。それは、世界の海を巡る、驚異と波乱に満ちた冒険の幕開けだった――胸躍る海洋冒険小説の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
79
初めて読む。ノーチラス号の話だ。今では、どれひとつとて驚くに値しないストーリーであるが、これが幕末時代に書かれたことを知ると、その先見性、洞察力に感動せざるを得ない。やはりすごい人であるのだ。彼のこの物語では多くの博物学的知識が披瀝される。これだけでも大変な書物であると思う。今日の時代一個人がこのような小説を書けと言われても、誰も書けないであろう。2008/03/31
ずんだ☆
21
〚★★★★☆〛ずーっと読んでみたかったものの挫折を繰り返してた本。児童書からチャレンジして出版社を変え、4度目にしてやっと読めた。怪物にたどり着くまでが、やたら数字が多くて....。色とりどりの海の生き物たちと一緒の海底散歩いいなぁ。あの装置があればやってみたいなぁ。2016/08/21
さくら
16
大西洋で相次いで巨大生物が目撃された。 噂が噂を呼び、世間では怪物と恐れられる様に。 アロナックス教授たちは高速艦でやっきになって追うとするが―――。 "SFの父"ジュール・ヴェルヌの冒険小説の新訳版。 これがまだ潜水艦の存在しない、1870年に発表された作品という所がまたスゴイ! 深海を彩る沢山の生物の細やかな描写。 挿絵が一切なく、想像を描き立てます。2016/10/11
かずし
5
不朽の名作。科学の力を駆使し、陸に一切上がらずに生活する機能を現実から地続きの発想でフィクション化するということを19世紀にしたことが信じられない。まさかの展開から、海底探索の浪漫。ミステリアスな艦長の魅力と畏怖。旅の行く先への期待、不安。SFの魅力が凝縮されている。 他方、上巻時点では人智の完全に及ばない深海には至っておらず、未知の世界探索の興奮はまだ味わえていない。裏を返せば、既にこれだけ面白いのだから後半はさらに期待できるということでもある。空想生物まで現れるかは分からないが、下巻に期待が膨らむ。2023/08/27
ぴく
5
他の翻訳ではネモ船長となっているところ、こちらではネモ艦長。挿絵は一切なしというちょっと残念さはあるけれど、訳自体は読みやすかった。でも論理的な説明が続くところが多くて一苦労。とはいえ海底の冒険譚は面白いし、続きが気になるので下巻も読んでみる!2022/06/24