内容説明
白いくちなしの花を髪にかざした「レディ・デイ」の輝かしい歌声。「私は『奇妙な果実』を歌うたびに、沈痛な気持になる。しかし歌いつづけよう。二十年を過ぎたいまでも南部では、パパを殺した時と同じようなことが起こっているから…」人種差別、麻薬、売春、そしてブルース。絶望にうちひしがれ、孤独のうちにうずくまるひとりの女が、みずからの激動の半生を語った魂の書。「ジャズ史上最高のシンガー」が、みずからの激動の半生を語った魂の書。最新ディスコグラフィ・詳細年譜を付した決定版。
目次
いつの春にか
過ぎし日のまぼろし
底抜け騒ぎ
口でいえない心のなやみ
人生にたのしみを
好機到来
悲しみよ、今日は
みがるな旅
明るい表通り
月に笑われ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
22
表紙が違った。自分が買ったのは1981年でジャズを聞き始めた頃かな。大橋巨泉が翻訳しているので驚いたものだが、もう亡くなってだいぶ立つので知らない人も多いだろう。でもこの本が出版されている限り名前は残るんだよな。イレブンPMの人じゃなく。昨日がビリー・ホリデイの命日だったので眠れない夜にずっと聞いていた。この本の小題が歌のタイトルになっていて、アルバムも出ていたはず。「レディー・シングス・ザ・ブルース」というタイトルで一緒にBGMとして聞くとジワります。2023/07/18
那由多
8
アフリカ系アメリカ人の歴史を知りたければ、ビリーホリデイの歌声を聴くべきだと思う。ビリーの動画やCDだけでは掴みきれないものを捕捉された。
bakumugi
1
十数年ぶりに再読。懐かしい。初めて買ったジャズCDがビリー・ホリデイだった。CDが先か、本が先だったか?文章や構成は褒められたものではないが、人種差別、貧困。絆や希望、人間としての尊厳を奪われてもなお、根源的に生き抜く。その苦しさや理不尽さが聞く者の魂を揺さぶる歌となっていることは実感できる。読了後、久々にYouTubeでビリーの歌を聞き続けた。2012/12/12