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内容説明
2015年夏に就任した森信親・金融庁長官の真意を知ろうと、いま金融機関のMOF担はじめ多くの銀行関係者は右往左往している。もともと不良債権処理のために整備された金融庁による金融検査の手法が一変しようとしているのだ。森長官に密着する金融庁担当記者がそのすべてを明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
274
ちょっとタイトルから想像していた内容とは違った。たしかに、バブル崩壊からゼロ年代くらいの、事業内容や企業の成長性をまったく鑑みず、返済可能性や自己資本などばかりを気にして貸付を決定する地方銀行の怠慢などは十分に指摘されているのだけど、それよりも金融庁を変革して地銀を変えさせようとした森信親氏や日下智晴氏などを礼賛するドキュメンタリーといった色合いが強い。そのうえ、金融の専門用語がかなり飛び出し、一般人だとわかりにくいマニアックな言い回しが多いので、読むのがしんどかった。2017/12/12
KAZOO
131
最近の本ですが、今までになく金融行政に切り込んだというよりかよくここまで書いてくれたという気がします。地銀の企画担当者は必死に読んでいることでしょう。民間から一本釣りで幹部職員を採用したり、金融行政方針という方針を出して地銀を疑心暗鬼に陥らせたりしている森長官の手腕が書かれています。来月には脱検査マニュアルということで新しい指針を出すようで、やっと以前に佐藤長官が言っていた「プルーデンス政策」を具体化したものが近いうちに出るようです。今後の森さんの出す方針から目が離せません。2016/05/25
えちぜんや よーた
85
年代を問わず事業会社から金融機関へ、もしくは金融機関から事業会社への転職が容易になれば良いのにね。実際にその商売をしてみないと 事業性を評価するのは難しいんじゃないかなと。2016/07/30
びす男
79
「地域金融にしか担えない最も重要な責務が事業再生だ」。金の流れとは、社会の血液だ。地域金融は、国の隅々に血液を行き渡らせるポンプのようなもの。地銀の存在意義について、大変勉強になった。折しも、新潟では大きな地銀二行が経営統合に動き出した。その背景にあるものはなにかを考える上でも参考になる話が多かった。共同の記者だというが、気になるのは二点。主役の森金融庁長官らに、直に話は聞いているのか?地域金融における銀行マンの実際の状況は?この本はタイムリーであることに価値を置いたのだろうから、別に構わないとは思うが。2017/04/17
Willie the Wildcat
74
日の丸護送船団方式からの脱皮。今更だが顧客志向!金融機関の存在価値を問う森長官の姿勢に同感。言うまでもなく、財務局などのお役所も、頭の切り替え必須。広銀/北國銀行などの事例が今後のモデルケース。査定にもメスを入れ、リスクテイク・収益・そして自己資本のバランス。既存業界枠を超えた競争の現代。金融機関の”殿様商売”も終焉ではなかろうか。それにしても、98年の特別保証、2008年の緊急保証制度の”誤解”が痛い。前者は山一・長銀、後者はリーマンの影響と推察するも、護送船団方式の”甘さ”が根底。2017/05/25