講談社現代新書<br> 捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体

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講談社現代新書
捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体

  • 著者名:橋本卓典【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2020/09発売)
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  • ISBN:9784065201459

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内容説明

利ザヤで稼げた伝統的銀行モデルは崩壊、新型コロナ禍が追い打ちをかけるいま、変わろうとしない地方銀行、信金信組に未来は開けない。すでに変革を進め、実を結びつつある、山形県、長野県、沖縄県、北海道などの実例を紹介する。地域を元気にする、中小企業を助ける以外に地方銀行員が生き残る道はなく、一方で、地銀再生の可能性がまだまだあることを、本書は教えてくれる。

バブル崩壊後の金融破綻で、銀行は企業のリスクから逃げ続けてきた。本来の銀行員は「消えた」のだ。
氷見野良三新金融庁長官は、金融機関に企業のリスクを分担することを強く求める方針を打ち出しつつある。コロナ危機にあえぐ中小優良企業を、リスクを分担して救うことこそ地域金融の役割であり、苦しむ地銀自らを救う唯一の道でもあるのだ。

本書は、徐々に固まっていく新金融庁の方針をスクープレポートする。そして、すでにこの方針を先取りするように動き出している地域金融マンの姿を日本中から紹介する。

面白いのは、これらの金融マンが「地域金融変革運動体」、略称「ヘンタイのカイ」という緩いネットワークで連携していることだ。ヘンタイのカイは、金融マンたちの「心理的安全性」が保たれたネットワークでもある。
遠藤俊英前金融庁長官時代に始まり氷見野良三新長官にも引き継がれる金融行政のキーワード「心理的安全性」(Psychological Safety)は、一見地味だが実は地方銀行はじめとする金融機関が大波を乗り越え、生き残るためには、「じぶんごと」として理解しておかなければならない考え方だ。

金融機関は、顧客(個人にも事業者にも)に対して「心理的安全性」を与えるビジネスをするべき存在だ。
金融機関は、そこで働く人にとっても「心理的安全性」を与える組織でなければならない。
金融庁は、金融機関に対して「心理的安全性」を顧客に与えているかどうかを重要な審査基準とする。

金融機関や元金融マンによる新しいかたちの企業支援が、いま地方でいくつも芽生えている。
その担い手は多くの場合「変人」だが、「心理的安全性」を確保して、常識を超えていく。そして彼らの多くはゆるやかなネットワークでつながっている……。新型コロナ禍以後、「地域の金融」はどう変わるのか、変わらざるを得ないのか。

累計30万部、『捨てられる銀行』シリーズの決定版。コロナ後の地域金融と地方再生に携わるすべての人のヒントとなる!

目次

序章  「計測できない世界」から「ネットワーク集合知」へ
第一章 地域金融変革運動体
1 地域の問題解決を本気で目指すヘンタイたちのネットワーク
2 心理的安全のない組織に未来を切り開く可能性はない
3 顧客のためにならないノルマを無視する諏訪信用金庫の支店長
4 琉球銀行「DJバンカー」が目指すスマホ時代にファンが集まる銀行
5 地域を救い、地域金融を助ける元・山梨県信用保証協会の「虎」
第ニ章  「新常態」の金融
1 「金融処分庁」から「育成庁」へ転換した金融庁の思惑
2 「地銀再編」をめぐる攻防の行方を占う
3 コロナ禍があぶり出した地域金融の問題点
4 「変わった公務員」が生んだ地域変革のネットワーク
5 金融機関は地域創生にどう関わるべきか地域商社の新しいモデル
6 金融検査マニュアル廃止+コロナ後の地域金融の生きる道
第三章 感染する知性
1 企業―大学―金融機関山形県から広がった「産学金」連携モデルへの希望
2 荘内銀行・本気のバンカーの地域課題解決支援策に学ぶ
3 還暦からの銀行員だからわかる地域金融の存在価値
第四章 ネットワーク集合知
1 変革運動を広げるために必要なネットワークとは何か
2 集合知を活かして相転移を起こす
3 困っている相手の求めに応じてこそ地域金融の企業支援
終章 つながりすぎた社会
1 金融は「窮地の時の頼れる迂回路」になれるか
2 動き出したアフターコロナの企業支援「集合知プロジェクト」
3 事業者の元気の先に地域の元気がある

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

95
著者には申し訳ないのですがこれで4冊目で惰性で読んでいるような気がします。ただ内容は地方銀行の地方創生の対応の仕方を描かれています。1冊目から感じているのですがどうも金融庁の政策を代弁している気がします。2冊目までは森長官賛美でした(スルガ銀行への対応でアメリカに逃げましたが)。今回は遠藤長官の政策を後追いで分析している感じです。ただ地方創生への対応の例が結構掲載されているので地方金融機関にとっては参考になるという気がしました。2020/11/03

aloha0307

23
表題とはうらはら 論旨は「捨てられない・消えない銀行」です。預金を掻き集め、担保&or保証協会保証(マルホって呼んでたなあ)で保全し事業性も理解していないまま、銀行の論理で融資を最大化...こんな旧態依然では本当にダメだね。不良債権処理があったにせよ(金融行政の圧力もあり)、リスクを取ることが本分のはずの銀行がそこから逃げ続けてきた...これが日本経済停滞の原因なのだね。分散型ネットワーク集合知~多くの地方で群発的に面白い取り組みをされています。この着想はメガバンクではムリだろうな。2021/03/07

警蓮社峻譽身阿

22
地域金融機関の現状を批判すると共に、先鋭的な活動を紹介するシリーズの4。地域金融機関の組織論では絶対に地域の為の金融は達成できない。どれだけ崇高なお題目を唱えようと建前でしかなく、本質的な活動に結び付きにくい。そこで重要なのは組織の論理を飛び越え情熱という利害を共にする「部活」だ。いわゆる体育会部活で勝利を目指した仲間とは時が経っても気兼ねなく本音を話せる。この心理的安全性が保たれた部活を、組織を越えた繋がりで実現すれば、人・情報が有効に行き交う理想的なネットワークが出来上がる。2023/05/14

17
20年9月。ノルマに追われて投信生保を売っていた頃に比べると、コロナ資金の取扱は本業の融資であってジレンマも少ないから、多くの銀行員の鬱憤は晴れたのかも。お金が返せるかどうかはともかく■さて、相変わらずの上から目線が鼻につくが、抽象論の前回に比べると読みやすい。地道に各地の事例を拾い上げていく方が合っているのだろう。それ以外の文章はつぎはぎ、言葉が上滑りしていて、頭に入ってこない■組織維持のために商品販売を続ける金融業界は「国民の生命と財産を守る」と言いながら見殺しにする政治と同様に叩きやすいのだろう2020/11/28

とみやん📖

14
政府による地銀再編の動きや背景が分からなかったので読んでみたが、それにはさほど触れておらず少しずつ残念。でも呼んで良かった。 著者は共同通信編集委員で、組織を離れた自律的な個が緩やかなつながり知を集合させるのが世の中を変革する力になるとの主張で自らも「地域金融変革運動体」に参加している。 信用金庫や地方財務局の職員の活躍が沢山紹介されていて熱い。自分も頑張らないと行けないと思わせてくれた。時折ドラッカーの言葉が出てくるが名言ばかり。「優先順位の決定について最も重要なことは、分析ではなく勇気である」とか。2021/05/23

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