新潮文庫<br> レ・ミゼラブル(三)

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新潮文庫
レ・ミゼラブル(三)

  • ISBN:9784102117033

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内容説明

第三部「マリユス」。頑固な祖父にさからって、ひとり下宿生活をはじめたマリユスは、窮乏の生活の中で、しだいに共和主義に傾倒してゆく。そのころ、彼が毎日散策に出かける公園で必ず出会う親娘があった。誇り高く純真な青年マリユスは、その未知の少女の清らかなまなざしにとらえられ、可憐な姿に憧れをいだく。娘は、ジャン・ヴァルジャンに養われているコゼットであった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

386
まだ4巻と5巻を残しているのだが、作品全体の構成からすれば、この巻は「起承転結」の「転」にあたる。物語の場はパリで変わらないが、主人公は一旦はこの巻で新たに登場してきたマリユスに移行する。ジャン・バルジャンとコゼットは登場するものの、あくまでもマリユスの視点から見られる位置に置かれることになる。蘊蓄と言おうか、物語が本筋からそれるのは相変わらずで、ここでもプロットが大きな動きを見せるのはようやく終盤近くになってからである。スリリングな展開と言えばそうだが、ここに至ってまたしても新たな疑いが萌してきた。⇒2022/05/18

ケイ

137
この巻は ほぼマリユス。マリユスの祖父と父、そしてマリユス自身との対立に見られるように、革命以来、国の中心がめまぐるしく変わっていったフランスでは、王党派か肯定派か革命派かで、人々は対立する。政権をとった者たちは、次はギロチンで処刑される者となる者かもしれない時代。そうして、こういう時代の常で、若者たちは思想的に過激になる。マリユス自身は、父への祖父の態度から家出して貧窮の中勉強して弁護士になる。貧しい下宿生活の中で、ジャン・バルジャンとコゼットや、テナルディエ一家と知り合う。そこにジャベールも加わる。2017/10/06

ヴェルナーの日記

98
やっと3巻にて、いま一人の主人公マリウス登場。彼の生い立ちの影響なのか、いまいち線が細いというか、よく言えば純粋。わるく言えば世間知らずなところが目だってしまう。たぶん作者ユゴーの思惑なのだろう。この純真で生活力のないマリウスが、いかにしてコゼットの心射止めるかが本書の見所だろう。物語は、ルイ・フィリップ王の七月王政時代の最中の18年間を描いている。革命の混乱するパリ。勃発する六月暴動へと向かってゆく中で、青年マリウスがどのように成長していくのか? という視点から読み込んでも面白いのではないだろうか。2015/11/19

扉のこちら側

93
初読。2015年1114冊め。【68-3/G1000】ジャン・ヴァルジャン→コゼットときてマリユス。1冊毎に軸となる人物が変わっていくのも大長編ならではの楽しみ。隣人のテナルディエは、そういう伏線だったのかと感心させられた。4巻にあと引く終わり方もよい。【第6回G1000チャレンジ】【新潮文庫の100冊1996】2015/11/05

Willie the Wildcat

60
家族をも二分する政体の揺れ。義、愛、そして憎が入り混じる修羅場。事実と真実を見極められない風聞の中、先入観・偏見が形成される過程。あたかも、無知の齎す混沌した世相を暗示しているかのようだ。窮地における言動、立ち居振る舞いに真の人間性。故に、零落かつ堕落がレ・ミゼラブル・・・か。但し、あくまで精神、心の問題。加えて、結果が常に因果応報とならない現実。時にプラスがマイナスとなることもあれば、その逆も然り。マリユスの投じた”変数”に、ジャンの”計算式”の結果や如何に・・・。2015/12/25

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