文春文庫<br> 天皇と東大(1) 大日本帝国の誕生

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文春文庫
天皇と東大(1) 大日本帝国の誕生

  • 著者名:立花隆
  • 価格 ¥784(本体¥713)
  • 文藝春秋(2016/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167330194

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内容説明

なぜ日本人は、あのバカげたとしかいいようがない戦争を行ったのか。
日本が大破局への道を歩き始めた昭和戦前期、歴史の大転換を中心的に動かしたのは、天皇という存在だった。
その大転換が起きた主たる舞台は東大だった。
天皇イデオロギーと反天皇イデオロギーとの相克が最も激しく起きた舞台も東大だった。
「東大という覗き窓」を通して、近代国家成立の前史から、大日本帝国の終わりまでを見渡した著者、畢生の大作。

<第1巻の主な内容>
東大は勝海舟が作った/初代学長・加藤弘之の変節/『国体新論』と「天皇機関説」/慶応は東大より偉かった/早大の自立精神、東大の点数主義/「不敬事件」内村鑑三を脅した一高生/天皇「神格化」への道/日露開戦を煽った七博士/戸水事件と美濃部達吉/元白虎隊総長・山川健次郎の奔走/沢柳・京大総長の七教授クビ切り事件/東大経済は一橋にかなわない/大逆事件と森戸辰男

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

禿童子

38
立花さんの畢生の大作の趣きがあり、単行本3分冊、文庫本でも4分冊は情報量の多さもあり、なかなか読み通せない。文庫第一巻は明治初年~大正中期までの東京帝大形成期をカバーする。明治14年の加藤弘之『国体新論』への海江田信義の攻撃と加藤の屈服、明治24年の実証主義歴史学を追求した久米邦武と重野安繹の追放など、後年の美濃部達吉の天皇機関説事件の兆しが見える。日露戦争開戦を煽って総理に直談判した帝大七博士、特に戸水寛人は、公然と侵略主義を唱えて後の満州事変につながる時代の変化を先導した。官僚養成機関としての側面も。2021/04/23

白河清風

19
この本は立花隆が文藝春秋に連載した「私の東大論」を4分冊に纒めたものだ。出版に当たり「天皇と東大」に改題。明治維新政府の正当化の為に利用した天皇制もそれ自体が目的化していく。この天皇制を頂く帝国の推進役の官僚育成のために東大が作られた。大学の必須条件の学問の自由が天皇制との間で揺らぐ。お飾りだと思っていた明治天皇は次第に道徳範に目覚める。軍部が後押しし、次第に現人神信仰へ向かい、天皇機関説も蔑ろとなる。唯一救われたのは、日露戦争の事前に軍部が終戦工作を行なっていたことだ。そういう周到さも次第に消えていく。2024/01/20

猫丸

12
日本近代史の軸に据えるべきは無論天皇だ。そこに補助軸として東大を並走させることにより、国家意識の揺動が立体的に浮かび上がる、であろうと目論まれた作。東大の基礎は幕府天文方から流れる洋書翻訳部門と、種痘所由来の医学部門である。つまり完全に西洋科学研究を目的とした組織であることがわかる。朱子学研究所であった昌平黌は、維新後には律令的大学校の中心に置かれながら国学・神道の御用機関となり果て、ついに閉鎖される。初期東大に狂信思想を植え付けようなどと考える愚物は政権中枢に近づくことはできなかったわけだ。2020/01/07

masabi

12
近現代の歴史はどのように築かれたのか。その歴史と共に歩むように成立した東大という窓から見ていく。東大は幕府時に文明吸収の場所として、明治維新後に官僚育成のため、国家として制度が整っていくと学問の独立の牙城となっていく。一番興味深かったのはどのように天皇主義が勢力を伸ばしていくか、また現代の諸問題がすでに明治期から活発に議論されていたことであり依然として完全な解決には至っていないことだ。2015/01/01

リョウ

3
明治の世の中になり、世界の中で独立を維持していくためにも国家の中枢を担っていく人材の教育が急務になる。最初は外国人講師を高い給与で雇い、徐々に日本人の学生を海外に留学させて知見を溜めて日本人による教育に切り替えていく。そのプロセスの中で、分野別に作られた学校が徐々に統合され、総合大学として確立されていく。一方で、政府の意に沿わない教授も当然に出現してくることとなるが、最初は大学が一丸となって政府に対抗して学問の自由をまもろることができていたというのは興味深い。2021/06/23

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